【音展2009】 キューテック「FORS system」の設計思想に迫る

closeこの記事は 7 年 18 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

 さて,前回はクロックの世界からデジタルオーディオを見つめ直したTADの製品をご紹介しましたが,今回は打って変わってバイナリ(?)方面からのアプローチによるキューテックのFORS systemのご紹介です。

プレスリリース(PDF) 
Philewebの記事

 今回は,プロジェクト・リーダーである同社企画営業部の小池俊久氏にお話を伺うことができました。まず,FORSシステムは,以下の5つの手法により,総合的に高品位な信号の記録・保存をするものだそうで,すべて必要不可欠な要素のようです。

○ FORS Sound Processor使用による原信号高品位転送
○ FORS Hi-Definition Master Clockによる基準信号の高精度化
○ Audio&Video Signal Cableの高規格・高品位化
○ FORS Hi-Definition Storagerによるファイルの高品位化
○ FORS専用 Hi-Quality Authoring&Encode Systemの使用

 そのなかで,今回は,FORS Sound ProcessorとFORS Hi-Definition Storagerについてお話を伺うことができました。

▼FORS Sound Processorって何?
 音展に展示してあったものは2ch用のプロセッサーでして,ヘッドホンでプロセッサーの有無を聞き比べができるようになっていました。
 詳細は企業秘密とのことですが,アナログ的な手法によりデジタル信号の波形をきれいにする,具体的には,波形の立ち上がり・立ち下がりを整えるもののようです。小池氏によれば,回路としてはシンプルだが,これを利用することを思いつくこと自体がノウハウであるとのことでした。
 興味深いのは,波形そのものは変化するが,バイナリ的に改変を加えるものではない(もちろんジッター的に変化するものでもない)ということを強調されていた点ですね。イメージとしては,伝送過程で劣化した波形をきれいにするものということで,私の勝手な憶測ですとアイソレーターのようなものかもしれません。

 入出力は,AES/EBU1系統,S/PDIF1系統のみのシンプルな構成です。たとえば本機のみをWordsyncなしで運用すれば,ジッター的観点からも音は変化しうると思いますが,FORSシステムの場合はRbでWordsyncをしますので,理論的にはジッターには影響しない運用形態となります。

▼FORS Hi-Definition Storagerって何?
 音展では,web上の媒体では未公開だった本機の内部が公開されていました。
 中身としては,ノイズフィルター付インレットプラグ→特注銅板シールド仕様Rコアトランス→SBD→大型電解コンデンサ→メタルキャンタイプのパワートランジスタ,といった安定化電源部と,ホットスワップ対応のI/Oコネクタ部,HDDマウンタ付きHDDという構成で,エンスーなPCオーディオと親和性が非常に高いマニアックな作り込みがなされていました。筐体にも相当コストをかけているようで,興味深かったです。

 このあたりから,小池氏のこだわりが炸裂し始めまして,「XXXは音が悪い,特にXXXXXXXのXXXは最悪」,「XXXの音が悪いのはXXXXXXXが駄目だから」,「本当はXXXXのXXXがいいんだけど,入手性が悪いからXXXXを使っている」,「XXXはXXXXXのものに限る」,「XXXは1度書き込みをしたらもう消さない。仮に上書きする場合には,X回XXXXXXする」など,PCオーディオをされている方なら色々と参考になる発言のオンパレードに(笑)。
 現在私が悩んでいる問題についても,示唆に富むお話をお伺いすることができました。

 感心したのは,それだけやっても,Storager自体で波形レベルで変化があるわけではなかったと率直にお認めになったことでしょうか。ただし,それでも音は変わると力強く断言されていたのが印象的でした。ここまでHDDのストレージにこだわっているのは,個人でも法人でもうちだけだろうという自信に溢れてらっしゃいましたね。

▼無理矢理頼めば販売も??
 こういった数値化が難しいマニアの拘りの塊であって,一般的には企業としてあまり稟議が通るとは思えないものが通ってしまったあたり,小池氏の並々ならぬ情熱を感じます。今後も意欲的に環境改善に取り組んでいただきたいですね。
 FORS Sound Processorですが,強い要望があれば一般販売も検討するとのことでした。ただしお値段はかなりのものになるようです…。ご関心のある方は問い合わせてはいかがでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title="" ktai=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">