ピットジッターとクロックジッター 6ps

closeこの記事は 7 年 9 ヶ月 4 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

 今回は,前回までのピットジッターがクロックジッターの増加に多少影響し,電源にノイズ成分を載せてしまうことを前提として,PCオーディオ的にこれをどうやって対策するのかを考えてみたいと思います。

▼予備知識
 まずは下記の過去ログをご覧ください。
http://www.spatiality.jp/modules/papc_research/index.php?content_id=3
http://www.spatiality.jp/modules/papc_research/index.php?content_id=4
http://www.spatiality.jp/modules/papc_research/index.php?content_id=5
http://www.spatiality.jp/wordpress/index.php?p=572
http://www.spatiality.jp/wordpress/index.php?p=573
http://www.spatiality.jp/wordpress/index.php?p=574

▼PCオーディオ的ピットジッター対策
 PCオーディオにおいても,CDからデータを直接読み出すことによる方式ならば,以下のようなデメリットが考えられます。

○振動によるピックアップ条件の悪化(I/Oレイテンシの問題)
 これはHDDでも同様にあり得るわけですが,CDを読み出すときのデメリットに比べたら微々たるものでしょう。
○ピットジッター増大による電源へのノイズ混入
 オーディオインターフェースを内蔵する方式であれば,特に電源へのノイズ混入は結果的にS/PDIF出力の品質を下げかねないので問題となるでしょう。外付け方式も結局は電気的に結合されていますので,ノイズの混入は留意すべきでしょう。
 トランスポートとしてPCを使う場合はこの問題は比較的軽減されるでしょうが,電源に載るノイズがクロックジッターを増加させる原因と考えられるのは明らかでしょう。

 こうした問題は,CDからピックアップを通じてデータを随時読み出す方式の原理的な問題点ですから,これをなるべく解決するには,HDDにデータをリッピングして格納する他ありません。
 もちろん,その結果出てくる音が好きか嫌いかは別の問題で,ジッターが増えるかもしれない方式のほうが好きだという人がいても不思議ではありません。例えばDACの場合,ジッター値の低さだけならインターナルクロックを使った方が低い場合もあります。

 結局,ピットジッターの影響を原理的に無くすには,リッピング方式を採らざるを得ないということです。

▼PCオーディオ的クロックジッター対策
 PCオーディオにおいて,伝送時のクロックジッターを解決する方法はデータとクロックを一緒に送らないということに尽きます。つまり,データをS/PDIFやAES/EBUで送らないということです。加えて,データを受け取った先で即D/A変換するのが理想ですね。
 これが可能なもので,かつ日本で代理店から購入可能な製品は,LINNのDSシリーズと,AyreのQB-9だけです。前者はLANでパケット送信をすることで伝送時のジッターの問題を解決し,後者はUSBのデータ通信を非同期に行うことで解決しました。QB-9は加えて電気信号を光信号に一旦変換して電気的にアイソレーションを行うので,PCからのノイズの回り込みも防ごうとしているようです。

 QB-9の詳細については,AXISSのサイトで近日公開されると思いますので,公開されましたら,再度取り上げたいと思いますが,OS上からはUSB-Audioとして認識されるので,ファイルフォーマットの上限は24bit/96kHzを上限としたPCM系フォーマットであれば,圧縮/非圧縮は問わないようです。
 あとは,カーネルミキサーをバイパスするように,カーネルストリーミング等で再生出来るソフトを使えば,Windowsで恐ろしいバイナリ不一致の罠も回避できそうですから,期待大ですね。

 というわけで,終わるはずだったピットジッターの話ですが,1回分増えてしまいましたw

 一応次回でまとめますが,発展的にPC上での理想的なリッピング方法について近々に検討してみたいと思います。

ピットジッターとクロックジッター 6ps」への2件のフィードバック

  1. hyro

    >オーディオインターフェースを内蔵する方式であれば,特に電源へのノイズ混入は結果的にS/PDIF出力の品質を下げかねないので問題となるでしょう。
    ここが問題です。
    電源経路から誘引される各種ノイズがどのようにS/PDIFの品質を下げるのでしょうね。

    あと、「クロックジッター」というテクニカルタームを連発されていらっしゃいますが、大雑把すぎて判りませんのでお教えいただけますか?

    >例えばDACの場合,ジッター値の低さだけならインターナルクロックを使った方が低い場合もあります。
    例えばどんな機種が(どんなエンジニアの作品が)あるのでしょうか。

    >こうした問題は,随時読み出す方式の原理的な問題点ですから,これをなるべく解決するには,HDDにデータをリッピングして格納する他ありません。

    ここは少し意味が不明瞭ですから、追記をお願い致します。HDDはシーケンシャル・リードが無いという意味でしょうか。

    >PCオーディオにおいて,伝送時のクロックジッターを解決する方法はデータとクロックを一緒に送らないということに尽きます。
    これは少し追記をお願い致します。
    まず、制御層(データ層)で「アシンクロナスであること」を言っているのか、物理層で「マルチワイヤ伝送」を指しているのかいまいち判りません。さらにI2S Busの優位性やパケットI/Oなどにも言及して頂けると助かります。

    >QB-9は加えて光アイソレーションも行うので,PCからのノイズの回り込みも防ごうとしているようです。
    光アイソレーションとはなんでしょうか。
    光信号をアイソレートするのか、光伝送によって電気的結合をアイソレートするのか少し曖昧です。

    >QB-9の詳細については,AXISSのサイトで近日公開されると思いますので,公開されましたら,再度取り上げたいと思いますが,OS上からはUSB-Audioとして認識されるので,ファイルフォーマットは問わないようです。

    本当ですか?
    USB-Audio用の制御チップは非圧縮・可逆圧縮デコーダ内蔵ですか?
    Sampling RateやBit Depthに制約はありませんか?
    DSDIFFが認識できてデコードできるのですか?

    まぁいろいろ大変な作業だと思いますが、完結させてくださいね♪

    返信
  2. えるえむ

    hyroさん,コメントありがとうございます^^
    hyroさんのほうがお詳しいとおもうので,hyroさんのほうから,ここはこういう言い回しや用法をしたほうがより正確になるといった形でご意見をいただければとおもいます。

    >電源経路から誘引される各種ノイズがどのようにS/PDIFの品質を下げるのでしょうね。
    本文は「下げかねない」から対策しようという趣旨ですので,実際にどう下がるのかは何とも言えません。ただ,たもそさんのサイトを拝見するに,PCの操作をするとオーディオインターフェースのWCOUTの波形が乱れるケースもあるようですから,何かしらの影響はありそうだなと思っています。

    >「クロックジッター」というテクニカルタームを連発されていらっしゃいますが、大雑把すぎて判りませんのでお教えいただけますか?
    ピットジッターと対比するにあたり,違いを強調する趣旨で「クロックジッター」と表現しています。データをD/A変換するにあたって必要となるクロック信号のジッターのことです。大ざっぱで恐縮ですが,読みやすさを優先しました。

    >HDDはシーケンシャル・リードが無いという意味でしょうか。
    異なります。CDを随時ピックアップ経由で読むことの原理的問題ですね。本文に加筆修正を加えておきます。

    >制御層(データ層)で「アシンクロナスであること」を言っているのか、物理層で「マルチワイヤ伝送」を指しているのかいまいち判りません。さらにI2S Busの優位性やパケットI/Oなどにも言及して頂けると助かります。
    前者のほうが解決の度合いとしてはよりよいように思います。
    I2Sバス方式は,トラポ部とDAC部とのクロック周りとデータ伝送の取り扱いがシンプルかつきっちり別れていて良いとは思いますが,オーディオ機器に限って言えば汎用性がありませんでしたから,現実的かといわれるとやや疑問です。
    パケットI/Oといってもいろいろあると思いますが,既存の製品ですとどのようなものを想定されていますか?私の頭のなかでは,LINNのDSシリーズやSlimDevicesの製品群なのですが…。

    >光アイソレーションとはなんでしょうか。
    >光信号をアイソレートするのか、光伝送によって電気的結合をアイソレートするのか少し曖昧です。
    後者の意味合いです。

    >本当ですか?
    >Sampling RateやBit Depthに制約はありませんか?
    失礼しました。bit深度やサンプリングレートには制限がありますので,DSD系のファイルは扱えないと思います。さすがにそれはhyroさんご存じだったはず…。手厳しいですねぇ。
    接続すると自動的にサウンドデバイスとして認識されるようで,デバイスドライバ等は不要だそうです。
    特定の販売店向けには既にAXISSのペーパーが用意されていますが,それを読む限り,AXISSは特段WAVやAIFFに限るといったアナウンスはしていないようです。
    私はAXISSの文書に則って書いておりますので,お手数をおかけして恐縮ですが,詳細は,AXISSにお問い合わせいただくか,Ayreにお問い合わせください。現時点では公式に国内向けアナウンスがありませんので文章の転載等は控えさせていただきます。

    返信

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