AirMac Express研究(2)

closeこの記事は 8 年 3 ヶ月 25 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

 AirMac Expressについてもう少し考えてみましょう。

▼低ジッターである,という話
○Stereophileの比較記事
http://stereophile.com/digitalprocessors/505apple/
However, this performance becomes moot when the AE’s digital output is used. The grayed-out trace in fig.7 shows a similar spectral analysis of the Musical idelity X-DACV3’s analog output while it was driven by the AirPort Express via the Monster TosLink cable. The noise floor has dropped by 4?5dB, the word-clock jitter to a respectably low 258ps, which is actually better than the case with the standalone D/A processor driven directly by my PC’s S/PDIF output (provided by an RME PCI card).

 上記は,Stereophile誌のレビューにおいてMusical idelity X-DACV3でD/A変換した場合のジッター値が258psec(ピコセコンド)でした,という話です。加えて,RMEのサウンドカード(リンク先からしておそらく96/8 PST)より低ジッターだったとしています。

 しかし,

http://www.stereophile.com/accessoryreviews/299/index5.html
The result, using a 15′ TosLink datalink, is shown in fig.1. The noise-floor components lie around the -128dBFS level, about 3dB higher than the best 16-bit D/As I have tested, and the overall dynamic range is 91.3dB. The overall jitter level is a low 248 picoseconds peak-peak.

 同誌のRMEの96/8 PSTのレビューを見てみると,ジッター値は248psecとなっており,AirMac Expressより見かけ上低ジッターな値となっています。こちらはMusical Fidelity X-24Kを使用した場合の数値です。

 このように,DACによるD/A変換込みでの値となっているので,話がちょっとややこしいですね。

○「LANはパケット通信だからAMEでジッターは生じない」という迷信
 あと,よく勘違いされることが多いですが,ざっくりと言うとジッターはS/PDIFでの伝送時およびPCMデータのD/A変換時に顕在化するわけで,LANでデータを送っている間は無線だろうが有線だろうが理論的にはジッターとは無関係です。
 つまり,あくまで光デジタル出力する場合orD/A変換してアナログ出力する場合に,初めて問題となるわけです。
 したがって,AirMac ExpressがLAN方式だからジッター値が低いorジッターは無視できる,といった議論は成り立たないことに注意すべきでしょう。ジッターはあくまでD/A変換時点からみた信号波形の時間的揺らぎをいうことにさえ留意すれば,頭がこんがらがることはないと思います。
 ただし,データ通信をLANでまかなってしまえば,そこに至るまでの経路においては伝送ジッターは問題とならないので,アプローチとしては理に適っているといえます。

○RMEに勝った!と騒ぐ前に…
 加えて,RMEの96/8 PSTはオプションのワードクロックモジュールユニットがあり(こちらのほうが水晶発振器自体も高精度),こちらを使ってWordSyncすることも可能ですから,RMEのカード単体での評価がさも96/8の限界性能であるように語られている点,WCM-IIでの変化を体験している私としてはちょっと残念です。
 ちなみに,96/8 PSTに載っている水晶発振器は偏差100ppmのものなので,極めて普通です。

 最後に強調しておきますが,そうはいってもAirMac Expressは無線LANルータなわけで,PC専業メーカーがこういった製品を超低価格で出してくるということ自体驚きを禁じ得ないところです。仮にRMEのカードより劣っているとしても,近しい数値を出していることは事実なわけで,そのことは素直に賞賛に値すると思います。なので,リビング用はこれでいこうとおもっています^^

※ Macindowsさんのご指摘により加筆修正してあります。@2008.08.22

AirMac Express研究(2)」への4件のフィードバック

  1. hyro

    何となく釣られてみますw

    測定結果だけがドカンと出ているのをむやみに信用するのは危険ですよ♪

    測定条件や使用機器が記載されてないのは尚怪しいです。

    数値は一見説得力がありますが、それが何を意味するのかを正しく「理解」していないと意味がないと想います。こーいう記事は確かに貴重な資料たりえるのですが、測定時定数幾らの時の最大のTiming Jitterが幾らという記載をしてほしいですね。時領域でのShortTermRegionにおける単純な周期関数波形の波形忠実度をJitterを解釈するなら、MTFで解析するべきかと。MTFを時間連続で観測・記録し。観測時間内での最大揺れ時間を伝送Jitterとして記載すべきかな。だから単位としてはsecとかdBで表すのもまぁあまり適当ではない気もしますが、一般ではそうなので仕方ないか…。ワタシとしては[sec/samples]で表す方がわかりやすいと思うけどね。

    あと、picosecondsはpsecとかって略してください。persamplesと間違います。

    >LANでデータを送っている間は無線だろうが有線だろうが理論的にはジッターとは無関係です。

    あと、こう言い切る根拠を示してもらえるとありがたいです。有線はまぁよしとしても、無線はどうだろうね。IEEEで規定された各規格で使われる搬送周波数ってホントにオーディオ機器に混入しないのかなぁ。ケーブルに混入しないのかなぁ。相互作用なしで貫通するほどキャリアの実効エネルギー高くないし。量子数は多いけど。

    「高周波無線で伝送する」行為そのものが何かに起因するような気がするのはワタシだけですかそうですかw

    まったく興味のない機器だからどーでもいいんだけどね(爆

    ひとの記事を引用するときは気を付けましょう。

    返信
  2. えるえむ

    hyroさん,コメントありがとうござます^^
    私自身は間違ったことを述べていたらすぐ訂正しちゃうタイプなので,論客の方々にご指導いただくのはありがたいことだと思ってます。釣りなんてとんでもないです。

    ▼測定結果について
    Stereophileの測定記事はいつも細かい条件が書いていないように思えるので,まぁ,今回の記事もこんなもんじゃないかなと思います。厳密な測定結果なんてオーディオ分野では一切明らかにされませんからね。

    たとえば,周波数特性は各社測定方法が違いますし,位相特性なんてメーカーで公表してるところはごく少数なんじゃないかとおもいます(私は見たこと無いです)。ステップレスポンスやインパルスレスポンスはたまーに見かけますね(といっても1,2社)。

    今回の記事も,AirMacExpressのほうも96/8PSTのほうも厳密さを求めるとどちらも使えない測定結果ではありますが,まぁ,おおよそ普通の人が普通に測定してそれなりに出てくる数値ということで,大体そんなもん,という前提で話をすすめた次第です。

    おっしゃるように,実際数値なんていくらでもねつ造できるわけで(爆),デジタルで完結する世界だからこそ,逆にデータに信用性が無くなってくることもある,ということだと思います。
    私としては,本文中の「このあたりはなんともいえませんが」の件のニュアンスを汲んでいただければとおもいましたが,わかりにくかったかもしれませんね^^;

    まぁ,このエントリで述べたかったことの眼目は,web上ではAirMacExpressのStereophileの測定記事が紹介されつつ低ジッターであると強調する主張が数多くみられることから,少しは情報源を疑って読んだ方がいいのではないかということを示唆することにあります。

    表記の件は修正しておきますね。

    ▼無線LANとジッター
    パケット単位で時間軸とは関係なく送っているLAN通信においては,データ送信の段階ではジッターは生じないという理解でよいのではないでしょうか。

    思うに,搬送周波数がオーディオ帯域に影響するのではないかという話は,AirMacExpressのようなアンテナとオーディオ基盤が極端に密接する場合に顕著なのだとおもいます。
    しかし,これは理論的な説明というよりは,現実問題そうなっちゃう(かもしれない)という事実上の問題ですから,まず基本的な枠組みを説明する場合にはこれでよいかなと思っています。
    つまり,hyroさんと私で,「理論的な説明」とは何か,という部分が食い違っているのかもしれません。

    でも,おっしゃるように,無線は音に悪いだろうなぁと予想するのは私も同じ考えですし,オーディオに凝ってらっしゃる方々の間であれば,衆目の一致するところ,と申し上げても良いのではないかと思います。
    当面はリビングオーディオですので利便性重視で行きますが,我慢できなくなったら10mのCAT7買ってきます(汗)。

    返信
  3. Macindows

    Stereophileは学術雑誌では無いので、細かい測定条件は期待しない方が良いように思いますが、日本の雑誌と比べればそれなりの測定結果があるので、個人的には役立っています。

    ちょっと気になったのですが、Stereophileのjitter測定って、DAした際にjitter成分がどう現れてくるか測定しているので、jitter値は組となるトラポとDACの組でみておかないといけないと思います。

    最初の引用の部分は

    AriPortExpress+Musical idelity X-DACV3で測定した場合 258ps
    と解釈できますが、

    the word-clock jitter to a respectably low 258ps, which is actually better than the case with the standalone D/A processor driven directly by my PC’s S/PDIF output (provided by an RME PCI card).

    と続きますので、RMEとの比較の部分では、which is actually better than the case with
    となっているので、素直に読むと数値は書いていませんが、

    RME PCI card+Musical idelity X-DACV3で測定した場合 258psより良かった

    となりますね。

    一方provided by an RME PCI cardのRME PCIの部分にリンクが張ってあり
    http://www.stereophile.com/digitalsourcereviews/299/
    に飛ぶと、えるえむさんが引用されたRME Digi96/8 Pro computer soundcardのレビューに行きます。
    2つめの引用ではThe result, using a 15′ TosLink datalink, is shown in fig.1. となっているので、Fig.1の説明、

    Fig.1 Musical Fidelity X-24K driven by RME Digi96/8 Pro via 15′ TosLink, 44.1kHz sampling, high-resolution jitter spectrum of analog output signal

    から、

    RME Digi96/8 Pro+Musical Fidelity X-24Kで測定した場合 248ps

    となるので、DACの異なる258psと248psを比べることは出来ないと思いますがどうでしょう?

    また

     加えて,RMEの96/8 PSTはオプションのワードクロックモジュールユニットがあり(こちらのほうが水晶発振器自体も高精度),こちらを使ってWordSyncすることも可能ですから,RMEのカードとだけ書いているのは誘導的でフェアとはいえません。
     ちなみに,96/8 PSTに載っている水晶発振器は偏差100ppmのものなので,極めて普通です。

    に関して、Stereophileは定期購読をしていますが、知る限りにおいて、
    ・RME 96/8 PST+ワードクロックモジュールユニット
    の組み合わせで測定されたことも言及された事もないです。

    またWordSyncするのでしたらマスタークロックが必要ですが、測定機材の中に記載されたこともありません。従って、「RMEのカードとだけ書いているのは誘導的でフェアとはいえません。」とまで言い切るのはどうでしょうか?書いていないものは使っていないと解釈する方が自然に思えます。ワードクロックモジュールユニットを使っていることがはっきりしているなら結構ですが、憶測でフェアではないというのはどうかと。
    Sterephileのフォーラムで直接John Atkinsonに聞けば確認できることですから、その上で書かれるのがフェアだと思います。

    返信
  4. えるえむ

    Macindowsさん,コメントありがとうございます^^
    ご指摘大変ありがとうございました。
    確かにStereophileの記事自体はD/A変換後の数値でしたね…。
    だと,Macindowsさんのコメントの繰り返しになりますが
    ○DAC Xにおいては,AMEは96/8PST Proよりジッター値が低い結果となっている
    ○DAC Yにおいては,96/8 PST ProはDAC XにおけるAMEの値より低いジッター値となっている
    ということになりますでしょうか。

    なお,96/8 PSTオーナーとしては,カード単独の状態で比較しているだけの数値が一人歩きしていること自体がとても残念でしたのでエントリに記載したのですが,若干筆が滑りすぎたようですので,こちらも訂正しておきますね。

    Stereophileの記事は日本のオーディオ雑誌と比べると大変先進的だとおもいます。
    今思い返しても,無響室でのSteresoundの測定結果は面白かったですねぇ…。
    あれだけは手元に残しておきたい気分です。

    返信

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