ATX電源をPCオーディオ的視点で見る

closeこの記事は 6 年 5 ヶ月 15 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

 ATX電源は毎月新製品が発表され,製品寿命が大変短いことで知られており,短期間であたりをつけて製品の良し悪しを判断する必要に迫られることがよくあります。実際の音質傾向は聴いて判断する他ないわけですが,そうはいっても粗悪な電源はなるべく避けたいものです。
 というわけで,web上にあるデータを見ておおざっぱにATX電源をふるいにかけることが出来る点を挙げてみました。一つ目が出力(直流)のリップルの少なさ,二つ目が入力(交流)の高調波歪みの少なさ,三つ目がスイッチングノイズの少なさです。

▼リップルが少ないと何故良いか?
 この場合のリップルというのは,本来一定であるべき直流電流の電圧が波打ってしまう状態をいいます。リップル分はどこかで吸収・除去する必要があり,一般的にはコンデンサ,レギュレーターやオペアンプなどがその役割を担うことになります。一般にその指標を電源変動除去比(SVR)と呼びます。SVRを超えるリップル量がある場合には,出力信号が変化してしまうので正しい信号再生は望めません。
 ATX電源において,リップルが少ない,さらにいえば電圧変動が少ないということは,PCパーツに対する電源供給能力が高いこと,負荷に強いことを意味します。つまり,「PCオーディオの内側に効く」ことが予想されます。
 ATX電源の出力にリップルがどのくらいあるのかはオシロスコープで測る他ありません。代表的なサイトとしては,下記のようなサイトがあります。測定方法も様々ですので,色々と見比べてみると良いでしょう。

http://www.jonnyguru.com/index.php
http://www.hardocp.com/
http://www.silentpcreview.com/

▼高調波歪みが少ないと何故良いか?
 高調波歪みについてはKIKUSUIの解説ページをご覧頂くのが良いでしょう。高調波歪みが入力にある場合というのは,おおざっぱにいえばATX電源から交流電源(50Hz/60Hz)に対して高調波が流れているということを意味します。
 つまり,PC用ATX電源に限らず,スイッチング方式やインバーター方式の電源を使っている場合は交流電源に対して高調波成分を送り出しているということになるわけで,高調波歪みが少ないことは,「PCオーディオの外側に効く」ことが予想されます。
 この高調波歪みが多いと,交流波形が汚くなったり,トランスの唸りの原因になったりします。一般にオーディオ機器用電源ジェネレーターというのは,この高調波歪みとノイズを除去するための機器ですが,交流波形を綺麗にすることにより音質が変化するのはご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 高調波歪みの測定については,近年の電源であれば,80PLUSの認証機関がその結果を公表していますので,そちらを参照するのが最も相対評価しやすいと思います。

http://www.80plus.org/

▼スイッチングノイズの少なさをどう見分けるか?
 一番調べるのが難しいのがスイッチングノイズについてです。スイッチングノイズは入力側にも出力側にも流れる可能性があるようですが,入力側においては高調波歪みと分けて測定する必要があり,出力側においてはリップルと分けて測定する必要があります。
実際,web上で見られる多くのATX電源の測定においてはこれらを明確に分けて言及することはないので,判断の難しいところですが,オシロスコープの値を見てみるのが最も直裁な方法とは思います。
 この点,国内のATX電源製造メーカーの場合は,表記方法は異なるものの明確に分けて表記されており,好感が持てますね。下記はその例です。

https://www.nipron.co.jp/pdf/download/testdata/2005052616240319030.pdf
http://www.tdk-lambda.co.jp/products/sps/ps_unit/una/pdf/una350p_eva.pdf

 以上のように,ATX電源の選び方の一手法について述べてきたわけですが,重ねて申し上げますが,悲しいかなこれらは音質傾向と直接結びつく指標ではないですから,実際は聴いてみるほかありません(苦笑)。また,ここに挙げた要素で判断するのが音質に対する影響を推し量る指標として正しいという保証はありません。とはいえ,高調波の垂れ流しは気持ち悪い,リップルでまくりは気持ち悪い,というのは当然出てくる心境だとおもいますので,今回の記事が皆様のATX電源選びの一助になれば幸いです。

ATX電源をPCオーディオ的視点で見る」への2件のフィードバック

  1. juubee

    リニューアルお疲れ様でした。各所をぼちぼち見てみますね。

    電源も実際に聴いてみるしかない、というのは面倒ですし、なんとも頼りない基準ですよね(笑)。聴感以外に、自分でも評価できそうな基準として、以下をさぐってみてもいいかな、とおもっています。PCの電源というより今はカーステの電源のことでいろいろ考えているので、そのからみもあります (^^ヾ

    1、ノイズ測定
    これはとりあえず、パソコンのオーディオインターフェースをオシロがわりに使えばいいかなと。

    2、負荷変動に対する過渡応答特性
    電池の内部抵抗が音質に影響するのも実感したので、ノイズ測定よりこちらのほうが役に立たないかな?と。
    オシロの他に、周期的に負荷が変動する電子負荷が必要ですが、VやAを実用レベル程度に小さく限定すれば何とか自作できそうにも思えてきました(無謀?)。結局やらない(できない?)かも知れませんが・・(笑)。

    返信
  2. えるえむ 投稿作成者

    juubeeさん,コメントありがとうございます。
    なにやら大変だったようですが,juubeeさんこそお疲れ様でした。

    実際は音の良いといいますか,高性能たり得る指標はあるとおもいます。
    上掲のURIにあるサイトなどは,実際にオシロスコープ等で出力波形を測定している訳で,測定条件の差異などはあるにせよ,何かしら相対化して客観的に比較すべきという方向性は間違っていないのではないでしょうか。

    ノイズ特性も軽視はできませんが,インピーダンスは結構重要みたいです。
    オーディオデザインさんに設計して頂いた電源は超低インピーダンスだったような…(といってもインピーダンスは周波数に応じて変わるわけでこれまた測定条件の設定が難しいですね)。

    測定方法については,確かTDKのサイトやNIPRONのサイトにJISかなにかの測定方法が記載されていましたので,まねすることはできるとおもいます。ご参考まで。

    まあ,最後はオシロがないと白黒はっきりしないのは,やっぱり電子機器だなあという感じがいたします。

    返信

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