位相ってむずかしー

closeこの記事は 10 年 2 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

 最近ケーブルの話題ばかりで恐縮でございます。クロックの話題は脳が疲れるので,気力と時間がまとめてとれる時でないと書く気がしないです…。まぁ,ぼちぼちと出来ることはやってますので,いつの日か日の目を見ることが出来ればいいなと思っています。

 最近気になるキーワードといえば,「位相」なわけですが,今度日本に輸入されてくる某社のケーブルは,位相ひずみに着目しているのだとか。

 ちょっと脱線しますが,そもそも,位相が最も問題となるのはスピーカーの位相特性だとおもいます。
 なんせStereophile誌web版を見る限りにおいても,市販の2Way以上のスピーカーの大半は位相特性が平坦ではなく,日本国内で販売価格が100万を超える製品であろうが,有名高級オーディオブランドであろうが,ネットワークの設計はたいていが聴感を基準として設計されているように思えるからです(読解力のある方は真意を汲んでくださいw)。
 アンプの設計でももちろん位相特性は問題になりますし,諸処の議論があるところではありますが,スピーカーに比べれば断然位相特性は平坦であると言えましょう(間違っていたらご指摘ください)。

 さて,話を元に戻します。ケーブルの評価において一般的にコンシューマで評価項目とされるのは,聴感上の,周波数的な帯域バランスであったり,解像度感であったり,音のタッチ(質感)であったりするわけですが,プロオーディオの世界では(聴感上の)位相特性も重要視されている傾向があるようです。

 もっとも,生音と録音された音を聞き比べるという経験を何度かこなさない限りは,位相特性の判断はできないと言われているようですし,位相の問題はシステム全体のバランシングによって成り立っていますから,単独の評価項目として,(聴感上の)位相特性の善し悪しを判断するというのはますます難しいことなのかもしれません。
 さらに根本的な問題点として,他の評価項目にしても,システム全体のバランスの問題はあるので,ある機器を評価するといっても,多くのシステムで試聴した結果ある程度見えてくる方向性,といった曖昧な傾向調査レベルであるという縛りから逃れることはできないので,話がややこしくなってくるのですよね…。

 ただ,やはり他の要素とは異なる部分はあるとおもいます。
 たとえば,周波数特性的な帯域バランスであれば,要は足し算引き算の関係ですからわかりやすいのです。どのシステムでも同じように足し引きされるわけですから。
 これに対して,「位相は回転する」わけですから,単純な足し引きの関係にありません。つまり,どのシステムでもこの機器・このケーブルを使うと位相が改善される,すなわち平坦になるっていうことはないはずで,一度回転を始めたらそれを平坦にするのはきわめて困難ではないかということです(DEQX等で補正しない限り)。
 それでも,機器・ケーブルで補正してしまうということを根拠づけようとするならば,それは位相特性そのものというより,帯域間ごとの位相ずれによる歪みが聴感上きわめて重大で,聴感上(ここポイントかなと)その歪み感が少ないことにより,位相感の改善を認識していることによるのではないか,という見解も成り立ちうるとおもいます。

 …何が言いたいのかわからない文章になってきましたが,要するに「私は位相特性の善し悪しが聞き分けられるし,うちの音は位相特性の良い音だ」という方がいらっしゃいましたらご連絡いただければ,ということです(笑)。是非訪問させていただきたく…。

位相ってむずかしー」への8件のフィードバック

  1. Akimitsu

    せっかくPCトランスポートを持っているんだから自分の家で実験すればいいのに(笑。
    良い悪いは別として位相・周波数ともほぼ平坦な音を体験できますよ。

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  2. えるえむ

    Akimitsuさん,コメントありがとうござます^^
    DRCとかで位相特性を平坦にすることは,一度やったらすぐ出来るし,それだと位相特性と位相歪みの関係が一緒くたに扱われてしまいませんか?
    そりゃ位相特性が平坦なら歪みは生じようがないですけれどね。

    当エントリの趣旨は位相特性を平坦にしたいってものじゃないんです。
    とにかく平坦な音が聴きたいならAkimitsuさんを早々にお招きしてますって。

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  3. hyro

    ワタシもいまEarthWorksのピンポイントマイクを借りてDRCのキャリブレーションしてますが、少なくとも以下の傾向を聴感で感じます。

    ・可聴帯域全域で均一に超鋭角で位相回転した場合は殆ど問題にならない。
    ・特定の帯域、特に中・低域での位相回転は時としてリスニングの妨げになる。それは発音タイミングの不調和、あるいは音階の不明瞭となって楽曲の構造を破綻させる。その際はシステムに応じた最悪角というかワーストギャップが存在する。少なくともそのギャップを回避するだけでも聴感で明確に判別できる変化を見せる。回転角に正比例するわけではない。
    ・ディフェーズはトランスデューサでのものが最も大きい。アンプシステムでのそれより確実に大きな偏差を持っている。そしてクロスオーバ付近でのディフェーズそのものより各スロープがクロスする付近でのハーモニックディストーションが問題である。
    ・フルフラットなフェイズレスポンスのシステム音を聴いておくことは重要である。DRCをoffした際の不協和帯域を認識しやすくなる。

    そんな感じで?す。

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  4. moonriver_mac

    一度位相特性と位相歪みの言葉の定義を考えた方が良いのかなと思ったりしますよ

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  5. Macindows

    ご存知かもしれませんが、信号の無歪み伝送の条件は、周波数特性フラットかつ直線位相です。直線位相の場合、位相回転が周波数に比例するので、その微分である郡遅延特性はフラットになり、波形は変形しません。位相特性が平坦であることは直線位相特性であるための十分条件ではあると思いますが、そこまで求めるにはかなり無理があると思います。

    ちなみに、
    LavryGold, Blue DACの位相直線性(誤差)は2度(10Hz – 20 KHz)
    Prism DA2の場合、 2.5 Hz – 20kHz(fs = 44.1 kHz)で1.6度未満
    となっていますが、フラットではないです。またICEPowerの位相特性を見ても直線特性に近いですが、フラットではないですね。

    最近だとパイオニアのAVアンプがフルバンド・フェイズコントロールと称して、測定により郡遅延特性をフラットにする製品を出しています。
    http://www.phileweb.com/pioneer/0711_sc-lx90.html

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  6. えるえむ

    皆さん,コメントありがとうござます^^

    まず,単語の定義を明らかにしたほうが良さそうですね。
    音楽産業に携わる方は,位相にこだわりのある方がいらっしゃいますが,それは厳密には「位相感」がおかしいということではないかとおもいます。
    技術的に,いったいどのような状態を意味して位相という単語を使っているのかということは明らかではないわけですが,そういうのは極端な話音楽製作には全く関係ないわけですから,そこを突き詰める必要があるのかといわれれば,優先順位は低いと言わざるを得ないでしょう。

    というわけで,なぜか文系の私のBLOGには理系の方のコメントが極端に多いのですが(爆),この際オーディオ的にはどのような意味合いが正しいのか,ご指導いただけませんでしょうか。
    後日まとめてwiki形式で公開できるといいですねぇ…。皆さんにwikiをいじっていただくということも可能ですけれどもw

    というわけで,私が知っていることについて列挙しておきます。
    ○Spのユニット単体でも位相の値が平坦ではない。
    ○2Way以上のネットワークを持つSpにおいて,クロス付近の位相が180度異なれば両者は打ち消し会い,周波数特性にディップが生じる(その反対ならピークになる)。

    技術系というか,専門的な話になると,単語一つとっても言い回しが難しくなりますね。高校数学も忘れかけている私の場合,位相は複素数平面的な理解なので,回転っていう単語がしっくりきますが,なかなか難しいようで…。

    というわけで,まずは参考になりそうなURIをご紹介。
    全体的な文章の感じで説得力がありそうなものを選びましたが(苦笑),肝心の数式を理解することが事実上不可能なので,内容の正確性を担保するものではありません(涙)。
    【歪み】
    http://www.timedomain.co.jp/tech/hifi07/hifi07.html
    http://www.gem.hi-ho.ne.jp/katsu-san/audio/distortion.html
    【群遅延特性】
    http://www.gem.hi-ho.ne.jp/katsu-san/audio/freq.html
    http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/groupdelay.htm

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  7. えるえむ

    皆さんのお話を総合するに,

    ○位相特性はフラットである必要はなく,直線であればよい
    しかし,位相特性をとにかく直線にするというのはSpを含めるときわめて厳しいので,結局たたみ込み補正で位相をフラットにしてしまうか,Spをマルチチャンネル駆動にしてデジタルチャンデバを使用してクロスを決めるしかない。

    ○位相歪みとは,「位相の非線型によって、波形が変化する現象」である。
    前掲のURIによれば,だからどうなるのかがよくわかりません…。位相そのもののずれは人間は知覚できない(もしくは,きわめて鈍感)と言われているようですが,波形が変化するのであれば,実際の音楽信号にどのように影響するのかはわかりませんが,知覚できるのかもしれませんね。

    ○過渡位相歪み
    前掲てつさんのサイトには,過渡位相歪みの問題についての指摘がありますね。電源で音が変わるということの根拠づけにもなりそうです。電源ケーブルで位相が安定する(直線に近づく)のだとすれば,過渡位相歪みが減少することに求められるのでしょうか…。

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