スペアナでみる日米の音作り

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 バンド構成の楽曲でお勧めCDを紹介するにあたって,あまり他のサイトでされていない手法かつ音質をある程度客観的に可視化できる手法がないか漠然と考えていたのですが,今回はその下準備的な話題です。

▼音圧のピークを探る
 実は,JazzやPOPS,ROCKをメインソースとして聴かれるオーディオファンの方が評価するCDというのは,スペアナにかけるとだいたい60Hz前後に音圧のピークがあります。
 これをドラムセットの周波数表と見比べてみると,とても興味深いことがわかります。まさにバスドラムの周波数のピーク値と同じですね。ドラムセットについてあまり詳しくない方は,併せてwikipediaをご参照ください。

http://plaza.harmonix.ne.jp/~toshiono/pa/drums_freq.html

 確かに,オーディオの肝は低域にあるという話はわりとよく聴く話です。バスドラムの音色がリッチに表現されることで,洋楽的な音楽はより安定感を持って聞こえるのかもしれません。
 ちなみに,サンレコのマスタリングエンジニア特集CDに収録されていた課題曲も,おおむねどのエンジニアでも60Hz近辺が山の頂点となっています(下のグラフはTed Jensen氏のマスタリング例)。

SR09_Ted-1.JPG

▼J-POPはタム重視?
 これに対して,J-POPのCDは音圧の山の頂上が125Hz近辺にあるものが散見されます(下のグラフはいきものがかりの『SAKURA』)。125Hzはドラムセットのタム(TOM)の周波数帯域となります。このあたりに,日本人は高域重視といわれる理由があるのではないかと…。

sakura.jpg

 なお,J-POPの音作りにおいて,低域があまり入っていない理由はいくつか考えられます。
(1)とにかくドラムのアタックを強調したい
(2)ポータブル機器やミニコンポで聴く分にはタムを強調した方がリズム隊が聞き取りやすい
(3)カーステレオでウーファーばりばりだと60Hzあたりが入っていると低域過多で大変なことになる

 タム偏重の帯域バランスとなっているミキシング・マスタリングの場合,ターゲット層がミニコンポで小音量で再生する層なら合理的なわけですが,反面,こうした曲を物量のかかっているオーディオで聴くとスカスカで大変悲惨なことになります。
 こうして見てみると,CDの録音評がばらけてしまう要因に,試聴環境の差があることは否めないかもしれません。スペアナによる特性の可視化は,こうした試聴環境由来の評価の差を減らすのに有効ではないでしょうか。

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