実は難しい(?)イヤフォン設計 その7

closeこの記事は 7 年 6 ヶ月 19 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

▼耳に取り付けることの問題
 実は,人間が音を認識するにあたっては,頭部伝達関数というものを検討する必要があるそうです。スピーカーをお使いの方は普段ほとんど意識されないとおもいますが(実は音像定位に密接に関連があるそうです),イヤフォンやヘッドフォンの場合にはかなり重要な問題のようです。

 これは,ユニットの取り付け位置が耳にあるのか部屋にあるのかの違いによって生じるという理解でよいかと思います。耳にユニットを近接させるイヤフォンやヘッドフォンの場合,リスナー毎の頭部伝達関数の違いが,設計意図と違う音に変化する直接的な要因となるから,といったところでしょうか。

 頭部伝達関数については,日経エレクトロニクスのこちらの記事がわかりやすいですね。ポイントは,音の定位を人間が認識するのに重要であることと,個人差があることでしょうか。特性等については,東北大の研究室のページをご紹介しておきます。
 更に詳細については,『頭部伝達関数の計測と バイノーラル再生にかかわる諸問題』という論文を見つけましたので,ご紹介しておきます。かなりおもしろいです。

 従前,イヤフォンの周波数特性ってすごく暴れているという話をいたしましたが,頭部伝達関数を考慮した音作りも提唱されているようですが,実際に頭部伝達関数を前提とした周波数特性のコントロールを行っていると謳う製品は見たことがありません。
 その理由はわかりませんが,頭部伝達関数は個人差がありますので,平均的な頭部伝達関数に依拠して製品を設計することに抵抗があるか,もしくは広報担当者が頭部伝達関数を知らないor宣伝にならないと判断したかでしょうか。

 スピーカーの場合には,種々の測定法がありますが,ダミーヘッドを用いた測定をしているのはきいたことがありません。これは,音源が通常は室内空間にあるので,当然と言えば当然ですよね。
 録音する場合も再生する場合も頭部伝達関数を無視してしまっても,リスナー個人個人の頭部伝達関数は結局適用されるわけですから,通常検討する必要がないわけですね(ただし立体音響という観点から補正をかけるものは存在します)。

■頭部伝達関数の話が予想外に長くなってしまいました。次回で最終回です。

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