アップサンプリングって?

closeこの記事は 6 年 11 ヶ月 24 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

 ユング君さんのBLOGにあったエントリを拝見してふと考え直してみたのですが,結局,整数倍アップコンバージョンってオーバーサンプリングと全く同じことをしているに過ぎないと思います。違いはそれをどのタイミングでやるかということだけでしょう。
 以前,「位相」の話題でもでてきましたが,アップコンバージョンも,音の変化に気を取られて,既存の理論をねじ曲げて解釈するパターンの典型といえるかもしれません。一般的には,アップサンプリングについて,オーディオマニアの心理を探ると以下のような経過をたどる気がします。

(1)初期段階(アプコンの音の変化にやられてしまっている状態)
 アップサンプリングはCDのデータを計算してもっと波形をなめらかにしてくれる。だから高いサンプリング周波数にすればするほどいい!
    ↓
(2)中期段階(ちょっと冷静になった状態)
 非整数倍でアプコンすると演算誤差が出るから,整数倍でアプコンするのがいいんだよ。
    ↓
(3)終期段階(完全に冷め切った状態)
 オーバーサンプリングとアップサンプリングって一緒じゃね?トラポでアプコンしたってジッター増やすだけでむしろ悪いことしかなくね?

▼ポイント
○整数倍アップサンプリング=オーバーサンプリング,非整数倍アップサンプリング≒サンプリングレートコンバージョン
○整数倍のオーバーサンプリングはデータが変質するわけではない
○オーバーサンプリングは,CD規格でアナログデータをデジタルデータにした際に生じる折り返しノイズを容易にカットするための技術
○一般的には,オーバーサンプリングはSRC(サンプルレートコンバータ)部もしくはDAC部で行われる
○オーバーサンプリングの倍数はおおよそ8倍以上。
○アップサンプリングしたデータは確かに音が変わって聞こえることも大いにあり得るが,音が良くなる理論的根拠はない

 たとえば,44.1kHzのデータを非整数倍(例;96kHz)にアップコンバージョンする場合,4倍程度のアップサンプリング(オーバーサンプリング)では変換時の歪みが大きくなってしまうので,44.1kHzを2の乗数倍(最低8倍以上)でアップサンプリング(オーバーサンプリング)した後に,関数を用いて96kHzにダウンサンプリングをします。
 また,シンプルに整数倍でアップサンプリングをする場合,増えたサンプル部分には0をいれるだけなので,別段波形がなめらかになるといったことはなく,単に変換歪みが生じないというメリットがあるだけです。
 このように,デジタルオーディオの技術としてすでに当然のように使われていたものですが,技術系の方々が基本的すぎて説明すら省いてきたからかなんなのか,ちょっと名前を変えただけで,アップコンバージョンは一時期大変流行しました。

 なお,非整数倍アップサンプリングはトラポ由来のジッターを低くするための手段として最近再び注目されていることは,何度か話題にしましたので今回は省略で^^;

アップサンプリングって?」への9件のフィードバック

  1. さもえど

    えるえむせんせーのデジタル基礎講座が開講ですか!?w

    ともあれ、確かに”当たり前”で”見落としがち”なことが書かれてますね。
    ワタシも(?)某氏から色々教えてもらうまでは、色んな勘違いしてたクチです。
    例えば、手法と目的が違うケースはあれども、確かにオーバーサンプリング≒アップコンバージョン。
    以前は、全く別処理なのかと思ってました。^^;

    さて、まだきちんと検証出来てないので記事にはしてないのですが、個人的には、元のソースそのままのサンプリングレートでDACまで情報を送ってしまうのが、良いのではないかと思い始めています。
    44.1KHz/16bitだろうが、96KHz/24bitだろうが、そのまま送り込んでしまって、後はDAC依存で処理させるのが一番自然ではなかろうかと。

    返信
  2. えるえむ

    さもえどさん,コメントありがとうございます^^

    いやー!せんせいなんてやめてくださいよ!
    そういうのはもっとふさわしい方が大勢いらっしゃいます…。
    あくまで,みんなで視野を広げていこうというスタンスでやっております。

    諸悪の根源は,なんかアップコンバージョンっていう凄い技術があるかのように振る舞ったメーカー(の広報)だと思いますよ。
    そりゃ,理論的に全くいいところがないんだけど音が良くなったように聞こえるから聴いてみて,なんて言えるはずもないですからね。
    アップサンプリングで聴感上の情報量が増えるとか,かなり危ない発言です。ジッターが増えてにじんでるから余韻が伸びて聞こえるんじゃないの?といわれても反論できません…。

    44.1kHz,16bitですらまだまだ鳴らす余地がありますからねー。今後も楽しみたいと思っています。

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  3. tomo

    こんばんは
    アップコン=ワイドTVに似てませんか?
    メーカーの売り方も酷かったですよね、映画なんか見ると最初のうちは迫力があった気もしますが・・

    リンク頂いてるようで大変恐縮デス、文章も内容もレベル低くてお恥ずかしい^^;

    返信
  4. えるえむ

    tomoさん,コメントありがとうございます^^
    昔のワイドTVですねw 確かに似ているかも…。

    いえいえ。とっても勉強になります。D式電源よさそうですね。

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  5. paipai

    こんばんわ
    リアルタイムに機器内で変換するものと、PCでFUSEなど使ってアップサンプリングするものは違うのかなと思ってたんですが、同じ様なものなのかな。結構変換に時間喰うから補間してるのかと思ってました。

    返信
  6. 通行人K

    こんばんは。
    このあたりおっしゃることの内容はある程度理解した上でのことなんですが、機器によっては内部処理的に何kHzで、もしくは何bitで入れるとより性能が発揮できるのかって差はあるようですよね。

    http://www.restspace.jp/cgi-bin/orz/img-box/img20091216020735.jpg
    リンク先の画像はウチのKonnekt 8をIEEEで接続し、S/PDIF同軸のinとoutを適当な同軸ケーブルで接続したものをRightMark Audio Analyzerでループバックテストした時のものですが、この条件においては88.2kHzの方が結果がいいです。(このあたりテスト結果だけを見ると単純に上げればいいというわけではなく、得意なkHzというのがあるようでした。いずれにしろ、この程度の差が聴感上どの程度の優位差を持っているのかというのもありますけど。)
    またこの機器においては16bitよりも24bitの方がテスト結果は良かったです。
    もちろんこれはS/PDIFでループバックしてるだけですからD/A変換してるわけでもなく、RMAAもフリー版を使ってる為にMMEでの結果です。
    例えばこうした機器を中継機として使用し、更にS/PDIF同軸から別DACへ出してD/A変換した場合などは、機器によってはこのような差が出る可能性もありますから、おっしゃられたようなデメリットとあわせて考えた場合にどうなるかなどと考え出すと頭が痛くなりますね。

    返信
  7. えるえむ

    paipaiさん,コメントありがとうございます^^
    PC上であらかじめ変換することのメリットについては,下記のサイトで言及があります。
    http://oak.zero.ad.jp/~zab88225/escute/download/waveupconv/

    > 通常、CDには22kHzまでの音声データが記録されています。これをCDプレイヤ等で再生する際、ディジタルデータをアナログデータへ変換するのですが、ここで22kHz以上の「ノイズ」(折り返しノイズ)が原理上発生してしまいます。CDプレイヤではこのノイズを何らかの方法で除去してアナログデータを作成しなければなりません。しかし、22kHz以下の音声は完全に再現し、22kHzを超える音声をノイズとして完全の除去することは困難です。本ソフトウェアは、PCの莫大なリソースを利用し、可能な限りの高精度な除去を実現しました。この高精度なノイズ除去は、2倍、または4倍のアップサンプリングを伴い、4倍の場合は、176.4kHz 24bitsの高精度ディジタルデータへと変換されます。次にこれを(サウンドカード、DVD-Audioプレイヤ等で)アナログデータへと変換する際には、88kHzを超える周波数領域にノイズ成分がシフトします。音声データは22kHzまでしか収録されていませんから、このノイズ成分と音声成分とを分離することは容易で、低リソースで非常に高精度にノイズ除去を行うことが可能となります。そのため、CDをそのままプレイヤで再生するよりもより原音に近い、高音質な音楽再生が実現できるのです。

    簡単にいえば,
    (1)現実に存在するDACのローパスフィルターでは折り返しノイズの除去が完璧にはうまくいかない
       ↓そこで
    (2)あらかじめPCでCD規格データをオーバーサンプリングしておいて(周波数成分は元信号と同じ),そこでCPUを使って高精度な(反面時間のかかる)フィルターを通してノイズ成分を除去しておく。
       ↓そうすると
    (3)オーバーサンプリングされたデータをDACがD/A変換した時には,すでに22kHz近辺にあった折り返しノイズは除去されているし,オーバーサンプリング後のデータの折り返しノイズは少なくとも44kHz近辺にあるから低性能なフィルタでも楽にフィルタリングできる。
       ↓すなわち
    (4)DACのフィルターそのものの品質になるべく左右されずに,高精度なノイズ除去ができる点が優れている。

    といった発想だと思います。折り返しノイズの除去という意味では低いサンプリング周波数で綺麗にノイズを取る手法として優れているといえるではないでしょうか。あと,安価なDACでより正確なを出すためには大変有用かと。時間が非常にかかりますが…。

    実際に今のDACがどのくらいの倍数でオーバーサンプリングを行い,どのくらいのフィルターを使っているのかはよく知りません(データシート見ろって話ですね。すいません。)。DAC側はなるべく高い周波数にオーバーサンプリングをしておいて,緩いローパスフィルターを使うというのが一般的なアプローチだと思います。
    こう言うのは実際の折返しノイズの量を比較すれば一発だとおもうのですが,あいにく不勉強故そんなデータを知りません。どなたかご存じでしたら是非。

    返信
  8. えるえむ

    通行人Kさん,コメントありがとうございます^^
    なるほど。私はRMAAは使用したことがないのですが,比較するデータ自体はテスト信号みたいなものがあるのでしょうか?
    その微妙な差異は,DACチップの個性のような気がしますね。興味深いです。

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  9. 通行人K

    自分もこのソフトの仕様自体について詳しくないのですが、今しがたインストールして出来てたフォルダ内を改めて確認してみましたところ以下のWAVデータがありました。
    Calibration signal.wav、Impulse.wav、Receive.wav、Test signal (44 kHz 16-bit).wav
    これがインストール時に解凍されるなどして出来たものなのか、テスト時に生成されてるのかまではチョッとわかりません。テスト時にこれらを使ってるのかもわかりませんし。

    おっしゃるようにDACチップの個性、特にジッタ低減機能というのでしょうかね?詳しくないのですが、機器自体が内部でbit変えたりアップサンプリングしたりもしてる機器もありましたかね。そのあたりもあって相性みたいなのがあるんじゃないかとは想像してはいるんですよ。
    ちょっと記憶がはっきりしないのですがウチの場合は176.4kHzまで上げてしまうと、データは確か逆に若干悪くなった気が。いや、もしかすると96kHzで、逆転だったかも。
    16bitと24bitの比較では、どのような場合でも24bitの方がテスト結果は良かったように記憶しています。

    返信

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