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LANケーブルを作ろう! その6

今日PCOCC単線を使用したF/UTP Cat6ケーブル試作品を頂くことが出来ました。どうやら,凄い音がするらしいですよ……?

伝聞なのは,私がまだ聴いていないからです(笑)。私は色々知りすぎているので,まずは概要以外は知らない方に聴いて頂くかたちにしました。理論的・構造的に手を抜いていないケーブルが実際に素晴らしい音だと嬉しいですね。
私としては,高「音」質ケーブルである以前に高「品」質ケーブルである必要があると思っています(特にLANケーブルで音質・画質が云々というのは眉唾っぽいと思われるのも良く分かる話ですし)。ですので,品質を確かめるべく,来月JECTECさんを訪問させていただく予定です。オーディオ業界(たぶん)初の検査機関の特性証明書付きケーブルの誕生なるか?!

どうやら,特性証明書そのものは発行できないようですので,測定の様子をレポートさせて頂きたいと思います。あとは守秘義務に抵触しない範囲で出せるデータは広く公開して,皆様のご参考になるように努めさせて頂きます。

なお,本ケーブルですがなるべく入手性を良くするよう心がけたいと考えております。販売店様をご紹介頂けるようでしたら,是非お問い合わせからご連絡頂ければ幸いです。販売店様からの直接のお問い合わせも勿論歓迎いたします。
現在のところ,PCパーツショップ様1店舗(決定),オーディオ専門店様2店舗(予定)でのお取り扱いとなっております。

そのほかにも色々ありますので,今後の発表をお楽しみに!

LANケーブルを作ろう! その5

さてさて,LANケーブルですが,末端処理加工をしていない状態のものが出来上がってきたそうです。1kmほど(爆)。無事100mでもCat.6の規格用テストにマージンを持って合格したとのことで,関係者一同胸をなで下ろしたところです。
まあ,これからが勝負というか,引き続き特性の試験は行っていくことになっていますので(その他の研究開発も含めて),何がLANケーブルにとっての「音の良さ」なのかを少しでも解明していくことが出来ればと考えております。

では,前回の続きに参りましょう。
今回生産をお願いしたケーブルは,ケーブルの平衡度を上げるという対策だけでも,UTP線として真っ当なものが出来る自信はありますが,いきなりUTPでデビューですと人によってはちょっと不安要素があるかもしれないということで,皆さんがシールド付きLANケーブルを正しく使って頂いているという前提で,今回はアルミテープシールド付きLANケーブルにすることになりました。
ただし,STP線ではなく,F/UTP線というタイプのものです。STP線というのは,編組シールド付きケーブルのことと定義されているそうで,今回使用するアルミテープシールド線は別の名前なんですね。

というわけで,F/UTP線という聞き慣れないものになりましたが,(1)信号減衰が少なく長距離伝送も余裕を持ってクリア出来ている,(2)適切にシールドをグラウンドに落としていればシールド効果もプラスされる,(3)仮にグラウンドが不適切でも,STP線よりは悪影響が少ない,という特徴を持つケーブルになりました。

あとは末端加工です。Cat6クラスになると素人の加工では特性が悪くなってしまうそうで,これも加工専業メーカーさんにお願いしてシールド付き端子に圧着していただくことにしています。これがまたすご~くお高くてびっくりしたのですが,国内で製造したかったので仕方ないですね。

以上,LANケーブル話でした。1kmもあっても困るので,今回のLANケーブルはPCパーツショップさん経由で販売させていただく予定です。週明けにはアナウンスさせていただくつもりですが,ちょっと未定です。使ってみたいという方,お楽しみに!

LANケーブルを作ろう! その4

皆さんLANケーブルの特性を測定する装置ってご存じですか?こんなものを使うそうです。

http://www.jectec.or.jp/02denkitokusei/a-dcm.html

JECTECは電線類のPSE認証を行う機関で,大手電線メーカーが共同出資して設立した法人です。上掲のように,LANケーブルの測定装置も有しています。

前回のエントリで申し上げたことと重複しますが,復習としてWikipediaのツイストペアケーブルの項目を見てみましょう。まず,より対線の効能というのは以下のようなものです。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%9A%E3%82%A2%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%ABより引用

で,これにシールドを加えたのがSTP,加えないのがUTPとなります。STPはWikipediaにもありますように,欧州の200V圏で主に使われているもので,国内ではUTPが一般的です。
LANケーブルのノイズ対策は,まずこのツイスト構造に基礎があるといって良く,シールドは接地することを前提とした付加的なものであることが判ります。オーディオファンの皆さんのご家庭では,STP線のシールドは接地されていますでしょうか。まさかの複数箇所での接地で盛大にループが……みたいなことになっていなければ良いのですが。

そして,このツイストの精度がノイズ対策に非常に有効であるとされています。この精度を示すのが,「ケーブルの平衡度」です。上掲画像でもおわかり頂けるように,より線はプラスとマイナスの磁束が打ち消し合うことでノイズを出さない構造ですから,綺麗に打ち消し合うためには,ツイスト状態が綺麗に固定されていなければなりません。
そこで,ケーブルのCat6からはLANケーブルの平衡度が規格のなかで決められています。ノイズノイズとうるさいオーディオ用ケーブルでも,こうした平衡度が規格として定められていてもおかしくはないですが,不思議と聞いたことがありませんね。もちろん,オーディオ用信号線でも平衡度は重要です。

平衡度が重要であることについては,こちらのPDFをどうぞ。
http://www.tsuko.co.jp/pdf_qa/no16_qanda.pdf

こうしたケーブルの平衡度を保持するのは非常に大変で,製造ノウハウが問題になります。要するに,金太郎飴を如何に綺麗に作るか,ということと一緒で,長年の技術の蓄積が物を言うようです。今回製造を依頼しているメーカーは,国内の大手電線メーカー系列で,現NTTに電線を納入していた実績のあるところにお願いしています。

LANケーブルの製造は今や殆どが海外製になってしまっていますが(サンワサプライさんのCat7ケーブルも例外ではありません),改めて日本製の,日本の物作りの品質の高さを実感したいという個人的な思いもあります。こういう状況ですから,日本製品や日本の物作りを出来るだけ応援したいものです。最近は海外製LANケーブルが市場を席巻していますが,今回はあえて製造から加工まで一貫して国内で行うことに拘ってみました(製造コストは中国生産の10倍位だそうですがw)。続きます。

LANケーブルを作ろう! その3

前回までのエントリで挙げた項目は,素人的観点でこうしたら音がよさそう…というものをただ並べただけで,実現可能性などは全く考慮していないものです。もっとも,実際に製造するとなると,物理サイズの限界やケーブルの特性として何を重視するのかを取捨選択していかなければなりません。

ケーブルの特性で最も悩ましいのは,(1)シールドすればするほど信号が減衰しやすくなる,(2)単なる金属のシールドではアースを落とさない限りあまり意味がなく,逆にグラウンドループの危険性を増加させる,ということです。
今回設計をお願いしたのは,LANの規格策定に関して日本の代表としてご活躍された方で,理論的な設計手法を非常に重視されています。そこで,私の素人的な発想と,プロフェッショナルの考え方をうまくマッチングさせて行く必要がありました。

まず,規格としてはCat6を満たす物を作るということになりました。オーディオ用の帯域としては必要充分ですね。

次に,PCOCC-A単線導体を使うことは全く問題無く採用。これは寧ろ面白いのではないかということでスムーズに決まりました。PCOCC単線導体のLANケーブルは実際に高周波の伝送特性が一般的なタフピッチ銅のLANケーブルに比べて優れているそうです。

また,長尺対応もスムーズに決まりました。なんと,JISの規格では,販売するケーブルの長さの範囲内で速度が出せるのであれば,そのカテゴリーを名乗って良いことになっているそうで,例えば100mでCat6保証しているケーブルと,1mでCat6保証しているケーブルでは全く伝送性能が異なるそうです。今回は出来るだけ長尺で伝送性能が達成出来ることを目指すことにしました。通常ラインナップとして10mのものを用意したかったからです。最終的には測定してみないとわかりませんが,100mでCat6に合格するものにしたいものです。

さて,最後に残りましたシールドの有無とその方法,これが非常に悩ましく…。
冒頭述べましたとおり,シールドというのは功罪あるわけで,単にシールドをすればノイズに強くなるかというと,全くそう言う保証はないわけです。むしろ,シールドが多層構造になるほどに,信号は減衰しやすくなるわけで,ノイズ対策を重視するのであれば,(1)ノイズと一言にいうがどの帯域のノイズが問題なのか,(2)そのノイズがどの程度音質に影響を及ぼすのか,がはっきりしていなければならないということになります。

そこで,かなり交渉を重ねた結果,次のような方法でノイズ対策をすることになりました。続く。

LANケーブルを作ろう! その2

というわけで,LANケーブルを作ろう企画の続きです。

とりあえず特注以外に道が無くなったので,物欲の赴くままにやりたいことを挙げてみました。

(1)PCOCC単線導体を使いたい

どうも,高周波の伝送特性を測定してみると,より線より単線のほうが良いようです。これは測定でも明らかであるようですし,実際サンワサプライさんのCat.7ケーブルは10m以上は単線のみのラインナップになっています(おそらく単線でなければCat.7相当の速度が出ないんでしょう)。

(2)STP線(シールド付き対より線)にしたい

シールドには功罪があるということは『PCオーディオガイドブック』でも書かせて頂きました通りでして,今回もノンシールドにすべきかシールドを付けるべきか悩みました。シールドはすればいいというものではなく,シールドを落とす場所によっては良くも悪くも作用します。なので,厳重にシールドを施しましたというのが必ずしも良いとは限りません。
とはいえ,ノンシールドというのも潔すぎるかと思いまして,今回はシールド有りでお願いしてみることにしました。

(3)長尺対応にしたい

拙宅の場合は比較的短く使う使い方が多いのですが,長尺でもきちんと特性が出るものにしたいところです。

(4)高速伝送規格に対応させたい

やはり,最低でもCat.6に対応するケーブルを作りたいのが本音です。1000BASEをクリアするのは時代の要請でしょう。

というわけで,上記の内容をお伝えして,いざ設計依頼をば。ここからが意外と大変でした…。