タグ別アーカイブ: CDマスタリング

最近ちょっと興味深かったこと。

▼ICEPOWERの話
 ICEPOWER 1000ASPって,なんちゃってバランス入力だったんですね。P.3もしくはP.20をご参照ください。JEFFにも採用されてるのに,なんちゃってバランスでいいんだろうか…。システムのフルバランス化って案外難しいんですよねぇ…。

http://www.icepower.bang-olufsen.com/files/solutions/icepower1000aspdata.pdf

▼マスタリングエンジニアさん方がおっしゃる「位相」の話
 なんとなく正体がわかってきました。キン肉マンさんありがとう!現状の私の理解では,物理現象としての位相とは違う概念にまで拡大して適用されているように思います。

▼正しい意味での位相の話
○位相は善し悪しではなく,ある基準点からして進んでいるか遅れているか
○人間は4kHz以上の周波数での位相は聞き分けることができない(cf.志賀さんのサイト
○Spからの直接音に室内での反射による間接音が加わると波形が乱れるのは,位相がずれた音が加わるから
○位相が両ch等しくずれた場合には,(少なくとも4kHz以上は)周波数特性の変化としてしか人間は感知できないはず
○位相が片chずれる場合のほうが,両ch等しくずれる場合より影響は大きそう
○反射は左右均等であるほうが左右での位相のずれは少なくなるので,Sp間の中央を基準として部屋が左右対称になるセッティングが理想的ではある。しかし,反面定在波の影響が大きく出てくるので,結果的に左右で周波数特性がより正しい方向に行くとは限らない罠
○左右のSpの音量の差はもちろんそろえた方が良いが,Sp以外のオーディオ機器の左右の音量差に病的にこだわったところで,そもそもSpのユニットの個体差のほうがやばくね?っていう話
○インパルスレスポンスをフーリエ変換すると周波数応答(周波数と位相)が求められる≒インパルスレスポンスを論じることはSpの位相特性を論じることとほとんど同じ

▼理想的なルームチューニング材
 数ミリ秒以上間接音が遅れてくればいいらしい…。さて,どうやって実現する?

菅野よう子はエンジニアヲタク!?

 オーディオファンの大多数はマスタリングエンジニアにほとんど関心がありません。
 しかし,CDを買ったらまずエンジニアをチェックする,もしくは関心のあるCDは必ずエンジニアをチェックするというこだわりを持つ方もいらっしゃいます。
 特に,アニソン(アニメソングの略)を聴かれる方は,エンジニアを気にされる割合が高いように思われます。こちらのサイトでは,エンジニア名とプレス会社用IFPI番号一覧が公開されており,こんなマニアックかつほとんど役に立たない(と普通は思う)情報をよく発見されたものだと感心するばかりです。IFPI番号一覧は個人的に大変ありがたく使わせていただきます^^

 最近,菅野よう子の3枚組アルバムが,クレジットされているマスタリングエンジニアが,ジョージ・マリノ(1枚目),テッド・ジェンセン(2枚目),宮本茂男(3枚目)という,名だたるエンジニアがそれぞれマスタリングを担当することが話題になりました。
 Sound&Recording Magazineのマスタリングエンジニア特集を聞き比べる限り,ジョージ・マリノ氏のマスタリングは暖色系・ピラミッドバランスで立体的で深みのある空間の演出に特徴がありますね。今回のアルバムでも基本的な路線は変わらないと思います。ご関心のある方は聴かれてみてはいかがでしょうか。


 話が少し脱線しますが,最近は,マスタリングの前提としてミキシングエンジニアも非常に重要ではないかと思っています。マスタリングは魔法ではないので,ミキシングエンジニアがあらかじめ設定した全体のバランスを元に細かな調整を行うという本質は変わらないからです。
 Sound&Recording Magazineのマスタリングエンジニア特集でも,マスタリングしやすい元データが提供されることが重要である指摘がなされていましたね。
 日本のミキシングエンジニアさんのなかには,マキシマイザやコンプレッサを駆使してしまい音圧に余裕がないデータを納品する方もいらっしゃるそうですが,そういうデータがきた場合にはもはやいじる余地がないというのは,音圧ばりばりのWAVをDAWで加工してみようと挑戦された事がある方なら容易に想像がつくのではないかと思います。

スペアナでみる低音 2Hz目

 周波数成分的にみて,低い低音が入っているソースというと,EAGLESのホテルカリフォルニアが最右翼ではないかと思われます。

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 29Hz,47Hzを頂点とする低域が入っており,これを正確に表現するSpは低域方向にワイドレンジといえるのではないでしょうか。ちなみに,WilsonAudioのSYSTEM5.1は40Hzから下の帯域がロールオフしているSpなので,29Hzの信号の再現はかなり厳しそうです。
 もともと20Hz台は部屋のサイズの制約もあり,狭い部屋では厳しいのではないかと思われますが…。

 邦楽ですと,矢野顕子のPaper Dollが31Hzピークの信号をもっていますが(小さい山なら更に低い値も…),これは足音(笑)なので,音楽的な意味ではあまり意味のない音ともいえますね。

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 よく,昔から「この曲には低域入ってるよ!」なんて言われている曲があったりしますが,本当にそうなのかはスペアナにかければすぐわかります。m-floも低域おもしろいですね。音圧はあまり高くないですが,17Hzくらいの信号が入っているものもあるようです。

 Cubeseでも出来る気がしますので,Steinbergのソフトをお使いの方は遊ばれてみてはいかがでしょうか。この曲はすごい低域入ってるぞというものがありましたら,是非ご一報ください。

周波数特性でみるコンプレッション

 下の画像は音が悪いので有名とされるある曲の周波数特性です。オケが完全に打ち込みなので帯域バランス的には低いところまで収録されている反面,個々の音のピークがつぶれており,べたっとした特性になっています。

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 これに対して,下の画像は私が優秀録音CDとして挙げているものですが,生楽器を使った録音でアコースティックなサウンドに仕上がっていますので,個々の音のピークが立っているのがわかりやすいかと思われます。

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 様々なジャンルの楽曲をスペアナにかけてみると,電子音打ち込みか生楽器かで波形がかなり違うのがわかります。
 一見すると電子音打ち込み系のほうが波形の細かな山谷がはっきり出ていますが,全体の音圧はマキシマイザ等で相当レベルを上げてあるものが多く,波形を音質評価の資料とするには,周波数特性と音圧の両方を確認する必要がありそうです(前回示したPerfumeの『GAME』の波形をご覧ください)。

 まぁ,私は波形分析の専門家ではありませんし,周波数特性からコンプレッションがどの程度かかっているのかを把握するには限界があるとおもいますが,ご参考までに。
 あ,画像につけたコメントが日本語としてちゃんと対応してないですね(小さい・広い,強い・少ない)。お恥ずかしい。元データ消しちゃいましたので,今回はご勘弁を(涙)。

スペアナでみる低音 1Hz目

 Steinbergのソフトはスペアナが非常に優秀で,任意の範囲で楽曲の周波数特性をみることができます。フリーソフトですと最大で1分までとか制限があって曲全体の周波数特性を見るのが難しいんですよねぇ…。

 実際に測定結果をグラフとして見てみるとおもしろいもので,オーディオファンの間で「この曲の低域(のレンジ)がすごい」なんて話題になるものでも,スペアナで見てみると案外たいしたことがないということもあります。このあたりが非常に興味深いですね。
 下の画像は一昔前話題になった鬼太鼓座の『FUJIYAMA』の周波数特性です。案外言われているほどには低域が入っていないことがわかると思います。オーソドックスに60Hz台のところにピークがある録音です。

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 逆に,「このアーティストの曲にこんな低域が??」と思うものもあります。たとえばPerfumeの『GAME』は60Hzより下に音圧のピークがあったりします。

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 低域が充実したソースと一般にいわれるものは,おおよそ60Hz前後に音圧のピークを持つようですので,少なくとも60Hz,できれば40Hzくらいまでは低域の応答性が良好なシステムが望ましいといえるでしょうね。