Tao邸訪問記(その5);「色づけ」論

closeこの記事は 9 年 10 ヶ月 19 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

 長かったTao邸訪問記も,いよいよ最終回ですw
 思い返せば色々と示唆に富む経験をさせていただくことが出来て,大変感謝しております。

▼調整の余地がないこと=音楽を楽しむ人へ,か?
 これまで申し上げてきた印象は,ある意味,CD規格の限界が露呈している感がなきにしもあらずですね。
 以前のエントリでも言及したと思いますが,CD規格時代のPCMのレコーディング技術って,結局,音楽を分析的,対立的,客観的,冷静に捉えることの追求だったように思います。音楽は客体であって,我々リスナーとも,ひいてはプレーヤー(演奏者)とも異なる,現象としての音楽だったのでしょう。
 故に,CD規格は元来素っ気ない音なのは必然的な帰結であって,そうであるならば,むしろSD-05は非常に高忠実再生であるという理解も成り立ちうると思います。
 しかし,そもそもある機器が理論的に色づけがないということは,すなわち規格の素の音がするのであって,どんなにがんばっても生の音が出てくるわけではありません。規格の素の音が生の音ならば問題ないですが,実際は様々な制約によって,実際に目の前で行われていることをそのまま切り取ってくることは不可能です。
 サウンドデザインの設計者の方と直接にお話をしたことはありませんが,S-Master技術は信号ロスを少なくすること,増幅を効率よく行うことを追求した結果そうなったのであって,元の器を超えることはそもそも念頭にないとしたほうが首尾一貫します。他方,生の音に限りなく近いと言い出してしまうと,結局認知の問題になってしまうので,理論的優位性を唱えても実際問題としてあまり意味がありません。

▼(ハイエンド)オーディオファンはオーディオが目的,か?
 自己弁護になってしまうかもしれませんが(笑),ああだこうだと機器やケーブルの組み合わせを試行錯誤している皆さんは,得てして音楽の原体験のような強烈にインパクトを持つ音楽経験があり,それを再び経験したいがために,「再生」という行為に望みを託しているのではないかと思えるわけです。
 私の周りには,漠然と良い音ではなく,確固たる「理想とする音」を求めている方々が大勢いらっしゃいます。皆さん軸がぶれません。オーディオをとっかえひっかえすることが目的なんて,口が裂けても言えません…。

 皆さん,音楽をもっともっと傍に感じたいのだとおもいます。リスナーが音楽に身を委ねるために,こちらから積極的に行わなければならなくなった結果,オーディオシステムによる再生音の訴求力を高めざるを得ない。悲しいことですが,CD規格のPCMは,多種多様な音楽の原体験を再現するようなレベルにないということです。
 感動するポイントは人それぞれ異なります。大事にしているものが違うからです。だからこそあれこれ試行錯誤をしているわけです。それを「色づけ」と呼んで愚かしいことだと貶めることもまた自由ですが,私は,感動できないものを感動できないままにしておくよりも,必死で追い求める人のほうがかっこいいと思います。

 なーんか,音楽を楽しみたい人は自社製品をお使いくださいなんて,古くさいですよね…(苦笑)。
 「弊社の製品をお使いの方は弊社が音楽を楽しんでいる方だと認定いたします。他社製品をお使いの方は申し訳ありませんが,音の変化を楽しむオーディオマニアと認定させていただきますので,ご了承ください。」みたいな(笑)。
 そういう脅迫的な言い回しではなく,全てのメーカーは,実際に出る音,理論的・技術的優位性の証明で勝負すればいいのです。

▼最後に
 そんなわけでして,凄い音なのになんだか落ち着かないサウンドデザイン完成形システムでしたが,重ねて申し上げておきますが,音のクオリティは非常に高いです。ただ,音楽に対する向き合い方次第で評価はかなり相反するものとなりますから,自分の嗜好をよくよく理解し,サウンドデザインの嗜好をきちんと尊重した上で,ネットの情報に接してください。
 ということで私のインプレも参考にしないようにお願いしますということで,まとめとかえさせていただきますw

Tao邸訪問記(その5);「色づけ」論」への2件のフィードバック

  1. tao

    lsmtさん、我が家の訪問記を5回にもわたり記事にしていただき、本当にありがとうございます。
    その明晰で的確な分析力には本当に驚かされます。灰色の脳細胞のレベルが根本的に違うのではないかと思ってしまいました。
    オーディオ駆け出しの身でありながら、気付くと二つもオーディオセットを持ってしまった支離滅裂な我が家ですが、始めるのが遅かっただけに妙に欲張りなところがあるのがその原因かもしれません。
    我が家のメインシステムとサブシステム、どちらも特徴的で長所や欠点があります。まだまだ使いこなすというレベルではありませんが、これからも格闘していきたいと思っています。
    えるえむさんのお宅にも是非お招きください。

    返信
  2. えるえむ

    taoさん,コメントありがとうござます^^
    大分時間もたってしまって,記憶がやや曖昧な部分もありますので,ご納得いただけない点も多々あろうかとは思いますが,ご参考になれば幸いです。
    PSDもネットワーク改良とベース新規設置により,一皮むけたようですね。CFRPも到着いたしましたので,あとはBlacklabel2のエージングが進めばなによりです。

    tao邸のシステムは非常に完成度が高く,勉強になりました。訪問記をご覧いただければおわかりかとは思いますが,私はジャーマンフィジックスのシステムのほうが好きですね(笑)。良い意味で主張を感じるシステムでした。

    今後とも,よろしくお願い申し上げます。
    なかなか拙宅にお招きすることが出来ず心苦しいのですが,機会がありましたら是非お越しください。

    返信

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