実は難しいUSBオーディオ

closeこの記事は 5 年 8 ヶ月 14 日前に投稿されたものです。最近の記事内容との齟齬がある場合,リンク切れが頻発している場合がありますが,ご了承下さい。

拙著PCオーディオガイドブックでも,USB-DAC/DDCはアシンクロナス方式のDAC/DDCを選ぶことをお薦めする記述がありますが,実はそう簡単な話でもありません。

例えば,USB-DAC/DDCに関して,よく話題になるのは以下の点ではないかと思います。

  • データ転送方式は何か?
    具体的には,アダプティブ方式,アシンクロナス方式,バルク転送方式のどれかということになるでしょう。しかし,メーカーによって「アシンクロナス方式」の実際の動作については微妙に解釈が異なっており,議論を整理するのが結構難しい状況です(例えば,dCS,Ayre,ラトックシステムの主張はどれも微妙に異なります)。これは,USBの規格書にアシンクロナス方式についての定義が殆ど書かれていないのが原因のようです。
  • ジッター性能はどうか?
    カタログスペック上で,例えば○psですと謳っていても,それは発振器のスペックであって,実際のS/PDIFやI2Sのジッター値ではない場合があることに注意が必要です(そもそも数値を掲載せずに低ジッターというだけなら誰でも出来ます)。

これら2つの点は,肝心な部分では実はあまり違いはなくて,データ転送方式はすなわち低ジッター伝送の実現に影響するかどうかという観点から語られますから,実のところ方式はどうでも良いわけです。
つまり,低ジッターであれば,アダプティブだろうがアシンクロナスだろうが,何でも良いことになります。データ転送方式が語られるのは,一般論としては,アダプティブよりアシンクロナスの方が低ジッターであろう,という推論が働くからに他なりません。

実際,CEntranceのDACPortはアダプティブ動作ではありますが,非常に低ジッターな出力を実現しています。
http://www.stereophile.com/content/centrance-dacport-usb-headphone-amplifier-measurements

ただし,アダプティブ動作の場合,USBのデータ送出のタイミングはPC側主導になりますので,PC側の送出タイミングが安定していることが重要になってきます。そう言う意味では,Stereophile誌での当該測定環境におけるデータであるということに注意は必要でしょう。
翻って考えてみると,アダプティブでは特にPC側のハード的・ソフトウェア的な吟味がより影響してくるといっても良いかも知れません。これは非同期型のサンプリングレートコンバータを内蔵するDACを使うのか同期型のDACを使うのかという点と同じ視点で考えることになります。

ですから,結局の所ジッターの議論は実測値が全てであって(その読み取り方は色々ですが),方式だけで,例えばアダプティブだから駄目ですというわけでもアシンクロナスだから大丈夫ですというわけでもないと言うことになります。
そして,低ジッターであるということが明らかになれば,次はDACチップやアナログ回路の出来が勝負になるわけですから,もちろん低ジッターであることのみで高音質であるということが示せるわけではありません。この点にも各社のノウハウが大いにあるわけです。

というわけで,最終的にはStereophile方式あるいはFidelix方式で測定してみるのがベターですが,まだ国内では統一的な測定方法が定まっていませんし,殆どデータが表に出て来ません。
ユーザーとしては,音を聞いて好ましい物を選択する他無いのが現状ではないでしょうか。

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