【引退】 MIT / Oracle AC2

zcord_ac2[1].jpg(国内代理店ナイコムwebサイトから引用)

▼PROFILE:
以前からアメリカのオーディオ用ケーブルメーカー御三家として有数の規模を有していたMITが生産している,電源ケーブルのトップエンドモデルです。最上位グレードのOracleシリーズには必ずネットワークボックスがケーブルに付属しており(というよりネットワークボックスこそがMITの本領),OracleAC2は2個のボックスがついています。
なお,音質傾向本文に出てくるZ3というのは,OracleシリーズのエントリモデルOracle Z3を指します。OracleシリーズはすべてZ3の導体を使用しており,ボックス1個がAC2,ボックス2個がAC2となっています。

▼音質傾向:
※本項目は相当以前から比較試聴していない印象に基づき記述されており,非常に曖昧なものです。ご了承ください。

○やたら駆動感のある音
Z3と比較してみるとわかりやすいと思います。開放的なZ3と比べると,箱付MITはとにかく駆動力がすごいです。ケーブルで駆動力と表現するのは語弊があるので,実際は駆動感なのでしょうが,低い重心の低域を,曖昧さを感じさせずにしっかりとした骨格感を持って描くので,グリップ感とでもいいましょうか,そういう地に足のついた駆動感を感じます。

○ピラミッドバランス・重心の低さ
AC2で感じられるのは,まず帯域バランスがピラミッドバランスだということです。AC2の場合のピラミッドバランスというのは,別に高域が出ていなくて低域が単にどーんと出ることを言うのではなくて,低域の質量感・ボディ感があって,緻密さを保ちながらどっしりとした音になるということを言います(書いていて伝わるか不安ですがw)。高域の開放感という点ではZ3のほうが良いのですが,ちょっとざらっとした粒子感を感じてしまう部分があり,個人的には高域の質感もAC2のほうが一枚上手だと思います。
他方,重心の低さもAC2の特徴ですが,本当に質量的に重いような錯覚を覚えるほど,高密度な低域を出してきます。NBSの低域の押し出し感とはまた違った,下に下がる低域の質感といいましょうか,低域の沈み込みがすごいですね。

○低音のスケール感で感じさせる音場
Z3が開放的で勢いに任せて音を拡散させるタイプの音場だとすると,AC2は沈み込む低域のスケール感で空間を満たしつつ,高密度のままきれいに音場に音を広げていくような印象です。逆に言うと,密度が保てる場所まではきっちりと仕事をして,それ以上欲張らないという感じでしょうか。低域のスケール感を感じやすい場所では広い音場となるでしょうし,狭い部屋だと音場の広さは感じにくいかもしれません。

○当然のごとく高S/N Z3はちょっと開放的で勢いがあるかわりに,ややノイズっぽく感じられますが,AC2はノイズ感は極小できわめて高S/Nです。
もっとも,AC2は欲張らない音作りのようで,与えられた仕事を完璧にこなすタイプというか,あまりワイドレンジな感じはうけません。限られたレンジのなかでのS/Nは他社のトップエンドモデルと比較しても相当高いと思われますが,レンジ感はあまりないので,この点はトレードオフの関係になるのだとおもいます。

○特徴的な閉塞感
MITの箱付ケーブルの好き嫌いは,まさにこの閉塞感を感じるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。AC2のほうがAC1より閉塞感が少ないというのが一般的評価のようですが,前述のとおり,開放的な音作りではないことからワイドレンジさはあまり感じられず(特に高域方向のレンジはあまり広いとは言えない),結果的にある一定の表現の枠内での完成度を高めたケーブルのように感じられます。
多少暴れてもよいから,のびのびとストレスフリーな雰囲気を楽しみたい場合には,MITを選択するのはやや危険でしょう。

▼その他のコメント:
ACケーブルはことごとくPSEで国内での販売が事実上不可能となっており,MITも例外ではありません。現在は直接輸入するか,ヤフオク等で購入するしかないと思われます。