オーディオインターフェース

OSとオーディオインターフェースの関係

まずはどのような環境で動かすのかが重要

Macで動かすのであれば,まず購入可能なハードウェアの仕様が非常に限定的である点に注意が必要です。デスクトップタイプなのにPCIスロットの空きがない,という場合もあります。
Mac OSはCore Audioという仕組みをもっていますが,ソフトウェアの設計によってはバイナリが一致しない仕様のようですので,出来るだけASIO対応デバイスを使い,ASIOドライバで動作させるのが良いでしょう。
加えて,対応するソフトが少なかったり高価でユーザーが少なかったりと使いこなし情報を集めるのは大変かもしれません。

これに対して,Windows,特にVista SP1以前では音声出力の仕様がプアなため,場合によっては信号が非整数倍でリサンプリングされ(典型的には48kHzでリサンプリング),ユーザーの意図しないデータ改変が生じてしまうケースがあります。そこで,特にVista SP1以前のWindowsマシンを使う場合には,ASIO出力に対応するオーディオインターフェースを使用する必要があります。
なお,Windows VistaSP2以降であればWASAPIという機能が標準化されています。

WASAPIには,ユーザーが任意のbit数,周波数を選択してミキサーの出力を設定できる共有モードと,ミキサーを通さず特定のソフトからのみ音声出力を許可する排他モードがあります。
排他モードは特定の条件を満たした場合のバイナリ一致(ビットパーフェクト)が保証されており,後発だけあって,WASAPIはMacOSのCore Audioよりも,設計思想としては使い勝手と音質のバランスが取れた仕組みになっています。

トランスポート用途でチェックすべき機能

ASIO対応

オーディオインターフェースには,最低限ネイティブにASIO対応であることが求められます。これはDAWソフトが元来ASIO準拠であるということとも関係しています。
なお,ASIO4ALLはソフトウェアエミュレートにより,カーネルストリーミングという機能を使って擬似的にASIOドライバ的な動作を実現してるだけなので,ASIO非対応のサウンドデバイスの根本的解決にはなりません。特にソフトウェア的には踏まなければならない手順が多く,レイテンシの点で不利といわれています。
したがって,ASIO非対応のサウンドデバイスの場合にはWASAPI排他モードを利用する方が良いでしょう。

低レイテンシ対応

レイテンシを下げられることは,DTM用途では音声編集の都合上大変重視される項目ですが,聴き専である場合,レイテンシは理論上それほど問題とはなりません。ただし,聴感上はレイテンシの値でかなり変化がありますので,要調整項目ではあります。
なお,レイテンシを下げるという観点からは,M-Audioはあまり無理がききません。レイテンシを下げたい場合にはRMEかLynxを選ぶことになります。

外部クロック入力対応

マザーボードのクロックはもとより,オーディオインターフェース内蔵のクロックもあまり高品質とはいえません。マザーボード上のクロックが低精度でも,データが正しく伝送されていれば特に問題はないと言われていますが, トランスポートはクロック同期してDACにSlave動作させてこそ真価を発揮するので,高品位なトランスポートとしての機能を期待するのであれば,外部クロック入力に対応しているということも必須条件でしょう。

代表的なインターフェースの特徴

結局,ピュアオーディオとしても必要十分な性能を備えていて,なおかつ流通が安定しているRMEかLynxの二択になってしまうと思います。
PCからDACへのノイズ伝播を嫌うのであればRMEでTOSリンク接続,光変換による信号の立ち上がりの鈍り(ジッター増大)を嫌ってAES/EBU接続にするならLynx ということになります(ただし付属のブレイクアウトケーブルは音楽鑑賞用途としては残念な品質です)。このあたりは主義主張の問題なので,お好きな方を選ばれるとよいでしょう。

RME

【外付けタイプ】

・FireFace 400  http://www.synthax.jp/products/fireface400/index.html

RME FIREFACE 400
RME FIREFACE 400
  • メーカー: RME
  • 売上ランキング: 877
  • おすすめ度 5.0

・FireFace 800  http://www.synthax.jp/products/fireface800/index.html

RME Fireface 800
RME Fireface 800
  • メーカー: RME
  • 売上ランキング: 6362

ピュアオーディオ用途ですと,最も異なるのは電源構成の違いです。FF800は電源内蔵型,FF400はACアダプタタイプとなります。
高品位な安定化電源を自作できる(もしくは市販の安定化電源を買う)方はACアダプタタイプのFF400のほうが伸びしろがあるようにも思いますし,電源自作が難しい方は思い切ってFF800を使われるというのも良いと思います。

・Digiface

お手軽入門用としては最適でしょう。ジッター値はFirefaceシリーズに比べると一歩劣りますが,価格帯的にはC/Pの高い製品であるように思います。
こちらも電源をACアダプタから置換することでより高品位なデジタル出力を得ることが出来ます。

【内蔵タイプ】

・96/8 PST pro http://www.synthax.jp/products/968pst_pro/index.html

WCM- IIと組み合わせると断然違うのですが,WCM-IIが余り市場に出回らなかったのと,96/8自体がDirectSoundに非対応なので,現時点で選 ぶメリットはコストパフォーマンス以外にはないでしょう。ただし,デジタルアウトの品質は未だに素晴らしいものがありますので,2万円以下の投資なら中古 で96/8 PSTを購入するのも良いでしょう。
なお,Windows7には対応しておらず(32bit環境であれは一応使えます),RMEは公式にドライバの開発を終了している旨名言していますので,Windows7 64bit環境での使用は出来ません。

・HDSP9632 http://www.synthax.jp/products/hdsp9632/index.html

RME HDSP9632
RME HDSP9632
  • メーカー: RME

WCM9632と組み合わせるほうが断然良いです。こちらは正式にWindows7に対応していますので,特に光デジタルアウトで使うことにこだわりがある方には非常に良い選択だと思います。
中古で安く済ませるなら96/8 PSTという手もありますが,WCMがないとちょっと一歩劣る感じでしょうか。RMEは自前のクロックの品質が余りよろしくないので(市販CDPくらい),WordSyncができるWCMは高品位なデジタル出力を求めるなら必須でしょう。
価格的にはC/Pが悪いかもしれませんが,RMEでしたらHDSP9632とWCM9632の組み合わせを推奨します。HDSP9652はピュアオーディ オ用途ですとちょっと路線が異なりますので,C/Pは良いのですが,これでおしまいに出来るという程の物ではありません。

Lynx

単体の品質としてはRMEよりLynxのほうが良いのですが,WordsyncしたRMEとSyncしていないLynxの比較となると微妙になってきます(その程度の違いとも言えるし,これこそ大きな違いとも言える)。
アナログ出力用回路があるのは嫌ということであればLynx Two(One)かAES16,デジタル出力用回路が無駄に多いのは嫌ということであればLynx L22をどうぞ。基本的にはどちらもデジタルアウトの品質に差はないことになっていますが,音質傾向は微妙に異なるという話もあります。両方ともAES/EBUでの比較をする必要があるのでなかなか難しいところですね。

・AES16 http://www.hookup.co.jp/products/audiointerface/lynx/aes16.html

Lynx AES16(ケーブル付き)フックアップAES16-XLR4530027129089
  • メーカー: (株)フックアップ

・AES16e http://www.hookup.co.jp/products/audiointerface/lynx/aes16e.html

現時点で24bit/192kHzの信号出力やDual AESに対応する貴重なカードです。デジタル出力のみ,しかもAES出力のみに対応している点が特殊ではありますが,ルーティングの柔軟性と相まって,非常に使い勝手のよいカードになっていると思われます。LynxのカードはDirectSoundとASIO,WASAPIの切り替えが大変柔軟ですので,あらゆる音源をシームレスに楽しむためにはうってつけであるといえるでしょう。

・Lynx L22 http://www.hookup.co.jp/products/audiointerface/lynx/lynxl22.html

Lynx L22
Lynx L22
  • メーカー: フックアップ
  • 売上ランキング: 235236

AES16との相違は,出力可能なサンプリングレートの上限が96kHzに制限されるのと,アナログ出力(こちらは192kHz信号も再生可能)がついている点です。アナログ出力を使う場合でも,比較的高級なDACチップが搭載されていますので,一台で何でもこなすマシンを作りたいという場合にはこちらが良いでしょう。

内蔵か外付けか

PCIスロットはグラウンドが非常に不安定でノイズが多いようで,有線でDAC等に繋ぐ場合にはデジタル出力に最低限パルストランスが入っているものを選ぶ必要があるでしょう。完全なアイソレーションを期待するのであればTOSLINK接続が良いと思います。
外付け方式にするにせよ,PCI経由で有線接続するのであれば,その不安定な電源からは逃れられないので,パーツの吟味は欠かせません。 あとは自分がどの点に拘るのかの違いでしかありませんが,ノイズ対策のノウハウがないのであれば外付けにして電源を別途製作するのがベターなのではないでしょうか。
ただし,同じブランドなら内蔵か外付けかという単純な比較ができますが,Lynx内蔵とRME外付けで比較するといった場合,設計の違いがどうしてもでてきてしまいますので,一概には言えません。外部クロック入力を駆使しないのであればLynxという選択肢は非常に有効です。

貴方はどのタイプ?ユーザー別のお薦めインターフェース

○PC本体のパーツ吟味・改造に自信のある方 →内蔵コースへ
○電源改造に自信のある方 →外付コースへ
○特に自信はないがどうせやるなら拘りたい方 →外付コースへ

【内蔵コース】
○とにかく単体で性能が良いのがいいという方
Lynx内蔵タイプをお勧めします。
○WordSyncまで金輪際予算が回りそうもない方,AES伝送至上主義の方
Lynx内蔵タイプをお勧めします。
○グラウンドループを徹底的に嫌う方,インピーダンス整合至上主義の方
RME内蔵タイプをお勧めします。

【外付コース】
○WordSync+安定化電源に凝るスキルのある方
RME外付けタイプ(FF400)をお勧めします。
○WordSyncに凝るスキルのある方
RME外付けタイプ(FF800)をお勧めします。

DACとの接続はどうするべきか

どの伝送方式にも運用上の長所と短所があるので,一概にどの方式によればよいということはありません。強いて言えば,BNCが選べるのならRCAを選択する必要はないということくらいでしょうか。

RCA接続

RCAプラグを使った電気的に接続されている(パルストランスがある場合を除く)接続方法です。S/PDIF規格に準拠しますが,プラグの構造上インピーダンスが75Ωにならないことがほとんどで,信号の反射が不可避といわれます。 また,ケーブルも同軸構造以外ではインピーダンス75Ωを保証することは通常は出来ません。ただし,音を出すだけであればインピーダンスは不整合で問題がありません(アナログケーブルでも大抵音はでます)。

BNC接続

BNCプラグはインピーダンスが保証されており,75Ω用プラグが存在します。これにインピーダンス75Ωのケーブルをつければ,信号の反射は生じません。 ただし,BNC接続でそのままデジタル出力が可能なオーディオインターフェースはほとんど無く,現実にはWordSync用端子にのみ使われています。逆に,WordSyncにおいてはBNC端子とBNCケーブルによる接続が最も理想的で,他の方式は相対的には何かしらのデメリットがあります。

TOS接続

光ケーブルを使った接続方法です。光伝送は長距離伝送に向き,電気的にアイソレーションされ,耐ノイズ性能も高いのですが,反面電気を光に変換する必要があるので,変換の際に波形が鈍ることによりジッター値が同軸ケーブルをそのまま利用した場合のジッター値に比べて多いといわれます。

AES/EBU接続

AES接続は規格上インピーダンス110Ωとなっていますが,XLRプラグは実測すると110Ωを保証できていないと言われています。また,内蔵型オーディオインターフェースの場合はサイズの問題もあり,D-Sub端子等でブレイクアウトケーブルとしての利用となっています。
バランス伝送方式かつ伝送時の電圧がS/PDIFより高いので,一般に耐ノイズ性能の上でRCAプラグ接続より高い性能を示すといわれます。