ネットワークオーディオの世界に触れてみよう

ネットワークオーディオの概要

ネットワークオーディオとは,LANを経由してオーディオに限らずあらゆるコンテンツを家庭内で楽しむためのuPnPやDLNAという規格を使った,特にオーディオ再生に特化した製品ジャンル(およびシステム全般)のことです。

UPnPとDLNAってどう違うの?

UPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)とは「機器を接続しただけで、ネットワークに参加することを可能にするプロトコル」(Universal Plug and Play – Wikipedia)のことです。規格はUPnPフォーラムという組織が策定しています。
DLNAとは「家電、モバイル、およびパーソナルコンピュータ産業における異メーカー間の機器の相互接続を容易にするために2003年6月に結成された業界団体」(Digital Living Network Alliance- Wikipedia)のことで,厳密には規格の名前ではありません。DLNAが策定している規格を「DLNAガイドライン」と呼び,ガイドラインに準拠していると認定された製品は「DLNA Certified」というマークの表示をすることが出来ます。DLNAガイドラインはUPnPをベースに作られており,機能を拡張した発展系と考えておけば良いでしょう。
両者ともTCP/IPプロトコルを使ってHTTPでデータを転送するなど,同様の技術的背景を有しているため,ほぼ互換性があります。ほぼ,というのは細かい部分で微妙に差異があり,結果特定のフォーマットのデータが再生出来ない,といった実用上の問題は生じてくるためです。

最近ネットワークオーディオが注目されているのは,PCとオーディオの役割をきっちり分けてしまうことができる点にあります。接続はLANケーブルを使い,LANのネットワークを使ってネットワーク上にあるファイルにプレーヤーがアクセスして再生します。
この場合はPCではファイルの作成(リッピング),管理,プレーヤーの操作のみ行うことになります。再生そのものは専用の機器で行います。また,操作については,iPhoneやiPodTouch,その他スマートフォンなども利用可能なケースもあります。

ネットワークオーディオの場合,PCそのものに何かしら対策する必要はありませんが,LANやネットワーク構築についてある程度の知識が必要です。ですので,現状あまり敷居の低い手法ではありません。
もっとも,地デジ対応のテレビやBlu-rayレコーダー等でDLNAに対応しているものが増えてきていますから,いずれはあまり専門的知識を必要とせずにネットワークオーディオが広まっていくと考えられています。

ネットワークオーディオのコンセプト

PCオーディオをスタイリッシュに楽しむ

実は最も他のPCオーディオと異なるのは,見た目かっこよく楽しむことができるという点ではないでしょうか。PC用の市販ケースにせよ,USBオーディオ機器にせよ,大半はオーディオ機器と同じ部屋にはあまり置きたくないタイプの自己主張の激しいデザインであったり,インテリアとのマッチングがとてもとりにくいデザインであったりします。
ネットワークオーディオはプレーヤーを担当する機器をオーディオメーカーが作ることが多いので,他のオーディオ機器との外観上のマッチングもとりやすいでしょう。

グラフィカルな操作性

ネットワークオーディオはPCもしくはスマートフォンで操作することが前提となっていますが,こうした機器はディスプレイを有しており,たとえばCDのジャケット画像を表示しながら音楽を再生したり,複数のCDジャケットを表示しながら一覧で選曲したりと,リモコンとは一線を画すグラフィカルな操作が可能です。


Bookshelf Apps – SongBook(http://bookshelfapps.com/songbook-ds.php Bookshelf Apps Limited. 2010)

PCオーディオの敷居をある程度低くする

やはり,高品質な音楽配信を楽しめたりジュークボックス的に音楽を楽しむことが出来ること,それをPCを直接的に媒介させずに楽しめるようになるのは大き な進歩と言えるでしょう。
PCオーディオは手持ちのPCを発展させるだけであれば敷居はそれほど高くはありませんが,究極を目指したオーディオ専用PCを作ろうとすると,要求される知識も金銭もばかにならないものがあります。故にPCオーディオは究極的には敷居が低いとは言いにくいのです。
その点,ネットワークオーディオはネットワークの知識とPCの知識が要求されるとはいえ,PCの音をどうやって良くしていけば良いのかという悩みがないという意味で敷居が低いといえるでしょう。

音楽配信やインターネットラジオと連携する

近年CDなどの物理的なメディアから音楽配信に音楽産業の軸足が移りつつあります。現在はAppleのiTunes Music Storeによる外圧的な市場開放に近いですが,遅かれ早かれ音楽配信事業をレコード会社が率先して行う時代が到来することと思われます。
インターネットによる音楽配信の場合,配信音源には曲の情報が埋め込まれていることが大半で,ネットワークオーディオシステムはこれを利用することができ ます。個人でCD音源をリッピングするのに比べると,ファイルの作成とタグ情報の入力という手間が省ける点で,本来的に音楽配信と親和的です。また,ネッ トワークオーディオシステムの多くはDRM(著作権管理技術)にも対応しています。
さらに,近年ではDVD-Audioと同クラスの情報量である24bit/96kHzや24bit/192kHzのPCM音源を配信する企業も現れています。こうした高ビットレート音源について,ディスクを媒介にせず直接データを再生出来る点もネットワークオーディオの利点です。


2L – the Nordic Sound(http://www.2l.no/ 2L c/o 2010)

根本的なジッター対策を行う

PCをトランスポートとして利用した場合に,トランスポートとDACの高音質化のために必要なのがジッター対策です(何の話だっけ?という方は『PCトランスポートの基本を知ろう』を読み直してみて下さい)。
オーディオファンの間で注目されたのはむしろこちらのほうでしょう。LANのデータ転送はデジタルオーディオで使われる伝送方式と異なり,クロック成分と 関係なくデータをやりとりします。また,仮にデータにロスがあれば再送する仕組みがありますから,コンセプト的にはトランスポートによるクロックジッター の影響は無いということになります。
実際,海外のオーディオ雑誌によれば,ネットワークオーディオプレーヤーは一般に低ジッターであるという測定結果が出ています。

一般的に必要なもの(☆は必須,★は推奨)

下掲画像はネットワークオーディオの一例です(プレーヤーはYAMAHA NP-S2000)。


(『NP-S2000を中心とした、ネットワークオーディオシステムの概念図』(http://jp.yamaha.com/products/audio-visual/hifi-components/network-players/np-s2000_silver__j/?mode=model Yamaha Corporation. 2010)

☆PC

CDのデータをリッピングする,リッピングしたデータをネットワークオーディオプレーヤーが対応しているフォーマットに変換する,作成したファイルのタグ情報を編集する,ネットワークオーディオプレーヤーを操作する,といった目的で使います。

★NAS(Network Attached Strage)

PCでリッピング・作成したファイルを保存して,ネットワークオーディオプレーヤーに認識させるために使います。ほとんどの場合,NASにデータを保存させなければ音楽の再生ができません。
NASといっても非常に多岐にわたって製品が展開されており,NAS的機能を有するものまで含めるとまとめきれないほどの数になります。代表的なNASメーカーとしてはQNAP,Baffaloがありますが,特にQNAPの製品群は品質に定評があります。

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NASは本来データを保存しておくための機器(ストレージと呼びます)ですが,ネットワークオーディオ向けに,PCにリッピングする機能とNAS機能の両方を持たせた製品も登場しています。
○LINN JAPANによるRipNAS紹介ページ
http://www.linn.jp/products/new/ripnas.html

★ルーター(できれば無線LANルーター),HUB

PC,NAS,ネットワークオーディオプレーヤーをLAN(ここでは家庭内の通信用ネットワークのこと)上で相互に認識させるために使います。一部のネットワークオーディオプレーヤーには,ルーターを使わずにNASとコントローラー用のPCがあれば動作するものもありますが(YAMAHAのNP-S2000など),一般的にはルーターが必要なことが殆どでしょう。
また,有線LANルーターよりも無線LANルーターを推奨します。特にネットワークオーディオプレーヤーの操作をノートPCやスマートフォンで行う場合には,無線LAN経由で操作させるほうが圧倒的に楽です。無線LANルーターのブランドも数多く存在しますが,規格策定に関わっていることもあり,Baffalo製のものは安定した動作に定評があります。

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ルーターにHUB機能が内蔵されているものが殆どですが,環境によってはHUBが必要になることもあるとおもいますので適宜追加して下さい。

☆ネットワークオーディオプレーヤー

作成したファイルを再生し,アナログ信号に変換してアンプに出力します。この機器の性能でほぼ全てが決まってしまうと言っても過言ではありません。

☆LANケーブル等

有線で接続するのであればLANケーブルが一般的でしょう。その他PLC通信など,各種の方法があります。LANケーブルにも様々な種類がありますが,最低でもCAT5eのものを選択して下さい。CAT7のものも登場していますので,好みで選択しましょう。

LANケーブルの選び方などの高音質化対策を知りたい方は『ネットワーク関連パーツ』をご覧下さい。

★スマートフォン/WiFiインターフェース

ネットワークオーディオプレーヤーを操作するリモートコントローラーとして使うことが出来ます。無くても何とかなりますが,iPhoneやiPod Touch用アプリを使ってネットワークオーディオプレーヤーを動作させるほうが,PCを使って操作するよりも遙かに楽で便利でしょう。
アプリも有償・無償含め様々なものが出回っており,メーカーが公式に配布しているアプリもあれば,アプリだけを独自に開発して配布しているアプリもあります。

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