低ジッター化を目標にしたシステム作りの指針

さて,本項はジッターを減らしてなるべく理想的にD/A変換ができることを目指したデジタルオーディオシステムについて考えてみたいと思います。

まずは低ジッター原理主義的に考えてみよう

クロック精度ということだけを考えると(つまりその他は理想状態にあると仮定します),

  • 一体型プレーヤーであること
  • 原発振器が高精度なOCXO(+Rbでもよい)を登載していること(さらに外部マスタークロックが利用可能だということなし)
  • クロック用電源とその他の電源が別構成になっていること
  • クロック用パターンの引き回しがインピーダンスマッチング出来ていること・ノイズを考慮したものになっていること
  • DAC部がMaster動作,トランスポート部がSlave動作していること

というあたりが思いつきます。
一体型がよいのは,クロック信号は引き回すメリットがないためで,高精度な発振子をDACチップ近傍において全てのクロックはそこから送られる構成が最もロージッターということになります。
ところが,こうした諸条件を全て満たそうとすると電源部がどうしても体積を取ってしまうようになり,筐体が巨大になってしまったりして非現実的です。
また,とりあえず理想状態にあるとした他の要素も,現実には理想状態にはなかなか到達していないわけですね。

低ジッターと物量のバランスをとろう

一般に,オーディオコンポーネントは機能的に分離(セパレート化)していった方が音がよいといわれていますが,これは電源部の問題やDACの回路構成の問題が非常に大きいのではないかとおもいます。繰り返しになりますが,低ジッターであることは高音質再生のための条件ではありますが,低ジッターであれば高音質になるわけではありません。
他方で,デジタルオーディオの世界ではむしろジッター対策としてコンパクト化すべきという要請もありますので,うまくバランスをとってやる必要があるといえましょう。

そこで,現状よくあるデジタルオーディオの構成のうち,クロック精度の点で理想に近づくシステム作りということになると,以下のようになります。

トラポ+DAC構成

  • DACがMaster,トランスポートがSlaveで動作する(DACにCLK OUTがあるのが必須)。
  • DACの源発振器が低精度な場合の対策としてDACを高精度クロックにSyncさせる
  • クロックとデータが分離されている伝送フォーマットを使う(EMMのようにSTでアイソレーションするとなお良い)
  • Wordsync用ケーブルを並列接続に使う場合,同一ブランドの同一銘柄を同一長で使う(こうすると相対的にケーブル由来の変化を単一かつ最小限にできます)。

DACがMasterになるべきという点が素直なイメージ(上流から下流へ)と違うので,違和感がある方もいらっしゃるとおもいますが,クロックはデジタルをアナログに変換するときどうなっているのかが肝心ですので,このような手法になります。
超マニアックな手法としては,DACの源発振器にトラポの源発振器を同期させるという方法もあります。こちらはより本質的で,一体型並の性能が期待できます。

ネットワークプレーヤー構成

この構成はデータ転送まではクロックと無関係なので,ノイズ対策をすることが最も重要になるものの,基本的には一体型プレーヤーと同じ発想をとればよいことになります。

クロック環境をなるべく理想に近づけるということは,DA変換の必須条件であり,DAC-ICの評価はそこから始まる気がいたします。内部クロックが非 常によくできているものであれば,そのDAC-ICは真価を発揮していると言えますし,内部クロックがプアならばそのDAC-ICはまだ評価すべき状態にないというこ とになるでしょう。最近クロックの載せ替えが流行っていますが,これで激変するような機器は不遇の存在といえるかもしれません。